ダート界は今、完全に東高西低

公開日:2025年12月4日 14:00 更新日:2025年12月4日 14:00

重賞で勝ち越しの大チャンス

 西高東低――。この季節になると天気予報でよく耳にする言葉だが、競馬の世界でも使われて久しい。

 平成初期から栗東トレセンの坂路効果か、平地GⅠを勝つのは関西馬ばかりに。関東馬は92年、わずか2勝止まり。97年には10勝、98年は13勝と盛り返したこともあったものの、00年、05年は1勝しかできなかった。あっという間に差が広がってしまったのだ。

 だが、その差も近年は是正されつつある。

 18年には前記した97年以来となるGⅠ10勝を記録。そして21年から3年連続で12、11、14勝と2ケタ勝利となり、この秋はスプリンターズS=ウインカーネリアン、秋華賞=エンブロイダリー、菊花賞=エネルジコ、天皇賞・秋=マスカレードボール、エリザベス女王杯=レガレイラと5連勝したことが話題となったほどだ。

 では、ダートに限った話ではどうか。今はむしろ東高西低とすら言えるようになっている。

 こちらはJRAでGⅠが年間2鞍(フェブラリーS、チャンピオンズC)しかないので、全重賞で見てみよう。ただし、イレギュラーなJRAで行われたJBC3競走、南部杯などはカウントしていない。

 ダート重賞が年間15鞍となったのは10年(18年はみやこSが施行されていないので14鞍)。以降の東西別勝ち鞍は東が57勝、西が180勝。トリプルスコア以上の差がついている。

 実際、こちらも東西格差は深刻だった。10、11年や13、14年は関東馬の重賞勝ちは1つずつだけ。芝だけでなく、ダートでも圧倒されていた。

 だが、こちらも近年は勝ち鞍が増加。16、18年は重賞6勝。その後は年間3、4勝ペースが長く続いたが、24年は6勝をマーク。

 今年はというと、根岸S、フェブラリーS=コスタノヴァ、マーチS=ブライアンセンス、アンタレスS=ミッキーファイト、エルムS=ペリエール、シリウスS=ホウオウルーレット、武蔵野S=ルクソールカフェですでに7勝している。

 一方の関西馬はプロキオンS=サンデーファンデー、ユニコーンS=カナルビーグル、平安S=アウトレンジ、東海S=ヤマニンウルス、レパードS=ドンインザムード、みやこS=ダブルハートボンドで6勝。まだ、今週のチャンピオンズC、次週のカペラSと2つの重賞を残しているが、関東馬が勝ち越す可能性が出てきているのだ。

地方でも東軍優勢で今年は3冠総ナメ

 この傾向は地方の交流GⅠ(JpnⅠ)でも見られる傾向だ。

 今年、関西馬は川崎記念=メイショウハリオ、かしわ記念、さきたま杯=シャマル、JBCレディスクラシック=アンモシエラで4勝。

 一方、関東馬はというと、羽田盃、東京ダービー=ナチュラルライズ、帝王賞、JBCクラシック=ミッキーファイト、ジャパンダートクラシック=ナルカミ、南部杯=ウィルソンテソーロで6勝と勝ち越している。

 しかも、注目すべきは3歳の3冠戦。羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシックと関東馬が全勝していること。ダートでは確実に東高西低の時代が来ていると言っても過言ではない。

チャンピオンズCは少数精鋭

 となれば、今年のチャンピオンズCも東軍に注目したいところ。数は少ないが、まさしく少数精鋭といったメンバーだ。

 ウィルソンテソーロは一昨年、昨年の②着馬。昨年のJBCクラシックに続き、今年は南部杯でタイトルをひとつ積み重ねた。

 シックスペンスは南部杯でそのウィルソンテソーロの②着。当時は初ダート。今回は2戦目の上積みが見込める。

 ナルカミはジャパンダートクラシックの勝ち馬で、田中博厩舎所属。チャンピオンズCをレモンポップで連覇しており、勝てば同一GⅠ3連覇の偉業だ。

 ペリエールは実績的にやや苦しいかもしれないが、最後には武蔵野S馬ルクソールカフェが。ケンタッキーダービーでは⑫着と大敗したが、前走は古馬を相手に完勝。JRAでは5連勝中である。

 これらの流れからは、今年もチャンピオンズCは関東馬が〝買い〟と思って間違いない。

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