亀井記者の血統ロックオン

インディチャンプ産駒重賞初制覇 プラス体重でVのタイセイボーグはまだまだ伸びる

公開日:2026年3月3日 07:00 更新日:2026年3月6日 10:46

 日曜に阪神で行われた桜花賞トライアルのチューリップ賞はスローペースからの瞬発力勝負。本番と違い、例年ゆったりとした流れになりやすいのだが、今年も千㍍通過は1分0秒7。上がりは33秒台前半の末脚が要求される決め手勝負となった。こうなると、欧州的なスタミナやダート的なパワーよりも、日本の良馬場でスパッと切れるサンデーサイレンス系(特にディープインパクト系)の血が持つ「キレ・瞬発力」が勝敗を分ける要素となる。

 勝ったタイセイボーグは昨年の新種牡馬のインディチャンプ産駒。父はステイゴールド系ながら祖母がスピードを伝えるトキオリアリティで、同系としては珍しいマイラー型に出ている。産駒はデビュー前から評判がよく実戦向きのイメージだ。その最たる例が同馬で、ここまで5戦、GⅠ阪神JF③着も含めてすべて馬券圏と大崩れがない。

 ただ、これまでは相手なりに走るものの勝つにはワンパンチ足りない印象があったが、今回は33秒1の上りで差し切り。前走がプラス16㌔、今回もプラス10㌔と体を増やしつつ結果を出している点にも好感を覚える。成長力のあるステイ系で父も本格化したのは古馬になってから。この春はさらに伸びてきそう。インディチャンプ産駒はこれが重賞初制覇だが、今後も注目してよい種牡馬だと思っている。

 ②着はダノンプレミアム産駒のナムラコスモス。父は2歳GⅠ勝ち馬で、母の父がジョーカプチーノはNHKマイルCの勝ち馬。早くから活躍できる仕上がりの早さと短距離気質のスピードを受け継いでいる。今回はスローで3番手からの競馬だったが、サンデーの3×4×4のクロスがあるから、決め手に優れたタイプだ。

 ③着アランカールはオークス馬シンハライトの仔。ラストはメンバー最速の33秒0で4角10番手から③着まで来たが、この流れではここまでが精いっぱいだった。ただ、マイルも守備範囲だが、エピファネイア×母の父ディープインパクトの母の適性を思えば、オークスの方がよりいいタイプかもしれない。ただ、ロベルト系の持続力×ディープの瞬発力配合で、マイルならペースが流れた方がいい。本番でレースが締まれば巻き返しがあってもいい。

 ④着がキズナ産駒のグランドオーパス、⑤着がシルバーステート産駒のダンデノンとともに父ディープインパクト系。①~⑤着のうち勝ち馬を除く4頭が父もしくは母の父がディープ系だったことが、いかに阪神マイルの瞬発力勝負だったかの証拠。また、同舞台のGⅠ阪神JFに出走した2頭が①③着だったように、前走、阪神JF組が強いレースなのも例年の傾向通りだったといえる。

非根幹距離の鬼レーベンスティールが重賞5勝目

 チューリップ賞とは打って変わり、中山記念はパワーと持続力が如実に問われるレースになった。

 レースラップを見ると明らかだが、道中で極端にペースが落ちる区間がなく、後半5Fはずっと11秒台半ばのラップを踏み続ける非常にタイトな消耗戦。中山千八芝はコーナーを4つ回る小回りコースでも、こうした淀みないペースになりやすい。特に今回は千八の非根幹距離で舞台の巧拙が出る結果になった。

 勝ったのはレーベンスティールでこれが重賞5勝目。特徴的なのがこの5勝は千八3勝、二千二百㍍2勝とすべて非根幹距離の点だろう。もともと父リアルスティールも千八の重賞で3勝を上げているが、産駒も非根幹距離に強い馬が多いのが特徴だ。同馬もこれで千八は〈5210〉とまさにこの距離は鬼。母の父がトウカイテイオーで非主流血統なだけに、その傾向がより強く出ているのか。今後は根幹距離でにスピード勝負にいかに対応できるかになってくる。

 ②着カラマティアノスは中山金杯①着に続く好走。こちらも千八では〈1220〉と一度も馬券を外していない。レイデオロ産駒で母の父がハーツクライと成長力のあるタイプで、古馬になって力を付けてきているのは間違いない。母系を辿るとアルゼンチンのGⅠ牝馬バラダセールもいる重厚なボトムラインであり、「タフな中山の持続力勝負」はまさにぴったりだ。半面、配合的に決め手勝負はやや不得手なタイプ。小回り中山で持続力勝負になったここ2戦は舞台適性で好走できたが、高速馬場での決め手勝負になった時に真価が問われる。

 ③着は昨年②着のエコロヴァルツ。またも勝てなかったというべきか。逃げたセイウンハーデスをマークする形で3番手を追走。勝ち馬が5番枠から最内のラチ沿いを取れたのに対し、こちらは2、3頭外め。昨年も1枠のシックスペンスにやられたが、開幕週の芝は特に内が良く、その差もあった(後述のオーシャンS勝ち馬ペアポルックスもイン差し)。それでも馬券圏を確保したのは距離巧者の多いブラックタイド産駒だからこそ。得意の中山の持続力勝負で力は出せたが、勝ち馬も同じく持続力勝負に強く非根幹距離の重賞での実績も上。その上、コース取りも完璧だったから勝ち馬を褒めるしかない。ただ、結果的に上位はすべて非根幹距離(特に千八)で実績のある馬ばかり。今後も距離適性を第一に見ていいレースだということを再認識した。

今年も高速決着で昨年②着ペアポルックスがインから差し切る

 土曜に中山で行われたオーシャンSは千二1分7秒0の決着。昨年よりも0秒1速く、戦前の予想通り時計の速い決着となった。
ただし、昨年と違ったのはラップ。昨年は前後半の3Fが33秒7=33秒4だったのに対し、今年は32秒0=35秒0。ピューロマジックがテンから飛ばした分、先行馬には厳しい流れとなった。

 実際、①着ペアポルックス、②着レイピアは4角12、10番手からの差し切り。それを思えば③着のルガルは4角2番手からよく粘っている。ミエスクの4×4のクロスを持つ配合はやはりスピード勝負でこそ。このレースで勝ち馬と0秒1差なら展開のアヤ。全く評価を落とす必要はない。

 勝ったペアポルックスは昨年の②着馬。祖母がアイビスSD勝ち馬のイルバチオ、父キンシャサノキセキからいいスピード受け継いでいるのだろう。時計勝負のスプリント戦に強い配合だ。それにしても追い切ってインをついたとはいえ、ラストはいい切れ。これまでは先行策で結果を出してきたが、サンデーサイレンスの3×3のクロスもあるから、ためる競馬は意外と合うのかも。先々へ向けて収穫のある重賞勝利になったかもしれない。

 ②着レイピアはミスプロ系×ミスプロ系の配合。こちらは勝ち馬と違ってサンデーの血を全く持たないピュアスプリンターだ。最後に勝ち馬に決め手で見劣ったのはその差か。それでも近走は差す競馬板についてきた印象。母の父がエンパイアメーカーとダート寄りなため、もう少し力のいる馬場ならさらに良さそうな印象はある。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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