今年の日本ダービーはゴール前、大激戦。最後にロブチェンが頭差抜け出して皐月賞に続く2冠を決めた。
ここまでGⅠ2勝。世代トップクラスの力は持っているが、父ワールドプレミアは菊花賞、天皇賞・春の勝ち馬。ディープインパクト直子とはいえ、瞬発力型というより、スタミナと持久力が武器のタイプだ。それだけに直線の長い東京に替わってどうかがポイントと思っていた。
その点、前半の千㍍が1分0秒7のスローで、後半の上がり5Fが全て11秒台というロングスパート戦になったことがこの馬に味方した面はあるだろう。それでも最後で馬体を併せてからグイッと出る勝負根性は光った。父は少ない産駒ながら勝ち上がり率もまずまずで実戦向きのタイプが多い。今回の競り合いで見せた勝負根性もそうした父の特性を受け継いだのかもしれない。ともあれステイヤータイプの父ながら春2冠を制したことは非常に価値が高い。もちろん、父が得意とした長距離戦のラスト1冠にも期待が持てるのではないか。
②着がキズナ産駒のパントルナイーフ。勝ったか、といったレースだっただけに、勝ち馬を褒めるしかない。ただ、どうしても気になるのはキズナ産駒がみせる〝甘さ〟だ。先週のオークスでもドリームコアが②着だったが、同産駒は3歳限定のGⅠで1勝②着7回③着5回と勝ち切れないケースが目立つ。思えば産駒はGⅠ6勝のうち古馬になってから5勝。若駒のうちは緩さが抜け切らない面があるのかもしれない。
③着はバステール。皐月賞⑪着からの巻き返しとなった。当時のこのコラムでも書いたのだが、キタサンブラックでサーアイヴァーのクロスを内包する配合は、昨年のダービー馬クロワデュノールや、イクイノックスと同じ。本質的に東京は向くとみていた。成長力のある血だけに、秋以降はさらに良くなりそうだ。
◎のゴーイントゥスカイは④着。もう少しペースが流れてくれればと思ったが、タラレバを言っても仕方がない。それでも、上がり3Fはメンバー最速の32秒8。スローの瞬発力勝負でも十分に対応する決め手は見せた。やはりコントレイル産駒は成長力ある中・長距離型とみていい。また、今回は馬券に絡めなかったものの、母の父ボールドルーラー系の馬はダービーとの相性が良く、今後も要チェックの対象となる。
2番人気のリアライズシリウスは⑦着。2番手から道中でハナに立ったが、皐月賞ほどの粘りは見られなかった。敗因は単純に距離だろう。父ポエティックフレアは欧州のマイル路線で活躍しており、産駒もここまで18勝のうち10勝が千六。ガリレオやモンジュー系とは異なり、サドラーズウェルズ系の中でもマイル色が濃い。距離に限界があるのではないかと思っていたが、二千四百㍍はさすがに長かった。ただ、これは適性の問題で力負けではない。距離短縮なら当然見直したい。
目黒記念はキングカメハメハ系、葵Sはダンチヒの血が躍動
ダービーのあとに行われた目黒記念はファイアンクランツが好位から抜け出し。父ドゥラメンテで、母の父がハーツクライで、トニービンの4×4のクロスを持つ配合。東京向きの長くいい脚を使う。
目黒記念はラストの持続力勝負になりやすいレースなのだが、今年も千㍍通過1分2秒2のスローから、後半の5Fがオール11秒台とロングスパート戦。配合的にもベストの流れだったのではないか。
昨年の勝ち馬アドマイヤテラも父レイデオロ、母の父ハーツクライという配合。キングカメハメハ系×ハーツクライは東京長距離で持続力を生かしやすい組み合わせなのだろう。ちなみに目黒記念はこれで父キングカメハメハ系が5連勝中である。
土曜に京都の葵Sは前半33秒7=後半33秒9。短距離戦としては淀みなく流れたものの、前傾ラップで前が総崩れになるような競馬ではなく、速いスピードを長く維持できるかが問われるレースとなった。
勝ったデアヴェローチェは父マテラスカイ、母の父ミッキーアイルのスピード配合。マテラスカイ産駒はこれが産駒の重賞初勝利だ。ダート短距離のイメージが強いが、父系は米国スピード血統。瞬間的な加速力よりもトップスピードの持続に優れたタイプが多い。母の父ミッキーアイルも短距離色の強いディープ系。本馬も6F戦に替わって2連勝と、その特性が生きた形だ。
②着ヒシアイラはモーリス×ロックオブジブラルタルでパワー型のスプリンター。これまで逃げる形で結果を出していたが、差す競馬でも結果を出せたことは収穫だった。とはいえ、スローのヨーイドンでスパッと切れるタイプではないので、本来は前でしぶとさを生かした方がいいイメージは変わらない。
③着タマモイカロスはデクラレーションオブウォー産駒。同産駒は芝・ダート兼用のパワー型が多い。ちなみに①~③着馬はすべてダンチヒの血を内包しており、開催最終週で見た目以上にタフなレースだったか。逆に1、2番人気で⑦⑥着だったタガノアラリア、エイシンディードはダンチヒの血を持っていなかったことは付記しておきたい。
今週水曜から26年の新種牡馬紹介スタート
ダービーが終わると新馬戦の始まり。昨年の新種牡馬にはいきなりダービー馬を出したワールドプレミアがいたように、今はまさに種牡馬戦国時代。という訳で、今年も新種牡馬の紹介記事をネット版限定でアップします。今週の水曜日から毎週水・木更新で1カ月間、計8頭を紹介する予定。興味のある方はご覧ください。



























