亀井記者の血統ロックオン

チャンピオンズCで勝負の分かれ目となった血統的な適性の差

公開日:2025年12月9日 07:00 更新日:2025年12月9日 07:00

 チャンピオンズCはコース適性の違いが出た結果だった。

 上位人気は①着が3番人気のダブルハートボンドで②着は2番人気のウィルソンテソーロ。1番人気のナルカミは⑬着に敗れた。この3頭の自身の印はダブル=○、ウィルソン=▲、ナルカミ=△で戦前から人気馬の中で一番危険なのはナルカミではないかと思っていた。

 そう考えたのは産駒の競走成績から。ダブルのキズナ産駒、ウィルソンのキタサンブラック産駒、ナルカミのサンダースノー産駒はダートで最も勝っているのが千八百㍍戦。キズナ産駒がダート295勝のうち千八で144勝。キタサンが72勝中29勝でサンダースノーは63勝中23勝だ。どの馬もダートなら千八で買える種牡馬なのだが、ポイントとなるのは同距離でもコース別の成績の違い。

 キズナ産駒は最多が阪神の44勝で、次いで中京で33勝。キタサン産駒は中京、阪神で最多の8勝ずつ。この2頭が中京で好成績なのに対し、サンダースノー産駒は中京千八で<0 1 3 22>と結果が残せていないのだ。しかも、このうち1番人気が今回も含めて6回もあったから、産駒として明らかに苦手な傾向がある。

 実際、ナルカミが負けた2戦は中京千八だ。一方、ダブルハートボンドはこれで中京千八は4戦4勝。ウィルソンテソーロも勝ち鞍こそないものの、前2年がレモンポップと僅差の②着だからコース実績は十分にあった。サンダースノー産駒でいえば今回はテンカジョウもそう。これまで12戦して1度も馬券圏を外していない堅実タイプだったが、今回は⑩着に敗れている。

 もちろん、レコード駆けから中3週で牝馬らしからぬ勝負根性を見せたダブルハートボンドに、3年連続②着のウィルソンテソーロが強かったこともあるが、ナルカミの負けは適性の差で、力関係うんぬんの話ではないと割り切っていいだろう。

 同じ3歳世代ではルクソールカフェも出走し6番人気で⑮着。ただ、こちらも血統的に今回の舞台はやや不安があった。というのも全兄カフェファラオもチャンピオンズCでは⑥⑪着と結果が出ていない。それでも次走のフェブラリーSでは①着と得意の東京マイルでは一変していることから、能力的なものではなく舞台が合わなかった判断していい。兄同様、東京マイルの鬼の弟も舞台適性は高くないのだろう。今回に関しては3歳世代の有力2騎は結果が出せなかったが、上位のとの着差=世代間の力差と言う訳では決してない。もちろん、舞台が替わればあっさり逆転があってもいいと思っている。

 ちなみに、適性でいえば今回あまり人気はなかったがセラフィックコール、ぺリエールのヘニーヒューズ産駒もあまり中京千八は得意としない。千八ダートで101勝のうち中京は最少の14勝。とくにオープン以上では<1 1 2 19>と上級条件になるとほとんど結果を残せていない。サンダースノー産駒同様、この舞台では疑ってかかった方がいい種牡馬だと言える。

キングカメハメ系が年内長距離重賞の完全制覇を達成

 チャンピオンズCのダブルハートボンドは10年ぶりの牝馬Vだったが、39年ぶりに牝馬でステイヤーズSを制したのがホーエリート。

 これまで二千五百㍍が最長で今回が初の長距離戦。ただ、ルーラーシップ×ステイゴールドの配合でスタミナは豊富なタイプだから一気の距離延長に対応できたのも納得だ。前走のアルゼンチン共和国杯は急・緩・急のペースに持ち前の持続力を発揮できなかったが、小回り中山でラスト5F12秒0―11秒9―11秒6―11秒1ー11秒6。末脚の持続力勝負なら力は発揮できる。

 それにしても、今年は長距離戦でキングカメハメハ系の活躍が目立った。ダイヤモンドS、天皇賞・春をルーラーシップ産駒のヘデントールが、阪神大賞典をレイデオロ産駒のサンライズアース、菊花賞がドゥラメンテ産駒のエネルジコで、今回もルーラー産駒のホーエリート。5つある三千㍍超の芝重賞を同系で完全制覇だ。これまで長距離芝重賞といえばステイゴールド系の天下だったが、今年は流れが替わった印象も。特にレイデオロ産駒は長距離戦の適性が高く、今後この路線の中心になっていく可能性もあると思っている。

 とはいえ、②着はゴールドシップ産駒のマイネルカンパーナが入っており、ステイ系も完全に勢いを失った訳ではない。来年の長距離路線はキンカメ系か強いのか、ステイ系の逆襲があるのかそれも違う勢力が出てくるのか。ひとまずキンカメ系が優勢と見ているが、血統が馬券に直結しやすいカテゴリーだけに、どういう流れになるのか、かなり注目している。

鳴尾記念は遅咲きデビットバローズが重賞初制覇

 土曜阪神で行われた鳴尾記念はデビットバローズがこの舞台3勝目を挙げた。ロードカナロア産駒で母フレンチビキニが5歳時に2勝を挙げた遅咲きのタイプ。同馬も6歳にして重賞初勝利と力をつけてきた。

 鳴尾記念はこれまで6月に行われており、特に前3年は中京二千、阪神二千、京都二千とコースもバラバラ。今年が12月で阪神の千八だから、近年の傾向が全く役に立つレースではない。ひとまず今回の結果から同時期、同舞台で行われる来年はマイラー寄りのコース巧者が狙い目になりそうとメモしておきたい。




亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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