亀井記者の血統ロックオン

例年より流れた弥生賞 キタサン+サーアイヴァークロスの決め手が炸裂

公開日:2026年3月10日 07:00 更新日:2026年3月10日 07:00

 日曜は中山で弥生賞ディープインパクト記念が行われた。言わずと知れた皐月賞トライアルだ。本番と比べて道中の流れが緩くスローの瞬発力勝負になることも多いが、今年は千㍍通過1分0秒2のミドルペース。過去10年でも2番目に速い流れで、このレースとしては比較的、締まった展開だった。

 その流れで後方から差し切ったのがバステール。人気2頭が前で早めに動いたのに対し、こちらはしっかり脚をためた分、直線で決め手が生きた形だ。

 父はキタサンブラック。産駒は持続力型のイメージが強いが、実際には切れる脚を使えるタイプも多い。なかでも本馬はサーアイヴァーの6×6のクロスを持つのが特徴。同じクロスを持つキタサン産駒ではイクイノックスや、クロワデュノールがおり、相性のいい配合。これが今回の決め手につながったか。

 また、キタサン×母の父ミスプロ系もジャスティンスカイやアドマイヤマツリがおり、瞬発力型の印象だ。バステールの全姉ミッキーハーモニーも上がり33秒台を連発した切れ者。弟もデビューから2戦連続で上がり33秒台をマークしたのはダテではなかったのだろう。兄姉には前記ミッキーハーモニーや、ダノンジャスティスなど短距離寄りの馬が多い分、距離がこれ以上延びるのはどうかも、本質的には東京の方がいいタイプだと思う。

 ②着はライヒスアドラー。1番人気のアドマイヤクワッズをマークしてゴール前でかわしたと思ったが、外から勝ち馬に来られてしまった。それでも内容的には勝ちに等しく、評価は全く下げなくていい。ただ、こちらも勝ち馬と同様に距離がこれ以上延びるのはどうか。父シスキンは愛2000ギニーの勝ち馬。ミスプロ系のスピードタイプだ。産駒もここまで23勝のうち、千八で最多の9勝、続いて千六で6勝と産駒もややマイラー寄りの傾向がある、本馬は母の父ハーツクライの分、距離に融通性はあるのだろうが、それでもこれ以上の延長はプラスではない気がする。

 1番人気のアドマイヤクワッズが③着。今回は目標にされて早めに勝ちに動いた分か。ただ、ここまで3戦がマイル戦。初の二千で自ら動いてこの内容なら及第点は与えていい(本音はそれでも押し切ってほしかったが)。土曜発行のコラムでも書いた通り、母系はスタミナのある血筋で、距離自体は問題なかったと思う。本番の権利を取ったこの3頭は前哨戦としては上々の内容だったといえる。

伏兵ギリーズボールは血統背景から本番でも侮れない!?

 一方、土曜阪神で行われた桜花賞トライアルのフィリーズレビューは波乱の決着。勝ったのはギリーズボールで10番人気だった。

 ただし、血統背景は優秀。母フロムクラフトののきょうだいには英・愛2000ギニー③着のスタッブスアートや国内で重賞3勝のコントラチェック、バウンスシャッセが並ぶ。同馬は父エピファネイアでその産駒らしい、いい末脚をみせた。母の父がフジキセキで7F戦にも対応してみせたが、本質的にはもう少し距離があった方がいいイメージ。7F内回りと本番と条件が全く違うフィリーズレビューは本番につながりにくい傾向があるのだが、この馬に関してはむしろ桜花賞の方が力を発揮できる可能性もありそうだ。

 ②着サンアントワーヌはマイルからの距離短縮で巻き返し。母系の特徴を引き出しやすいドレフォン産駒だが、この馬は素直にスピード型に出ている印象。成長力のありそうな配合だけに将来的にはもう少し距離もこなすかもしれないが、現状はマイルより短い方がいいと思う。

 ③着にアイニードユーが逃げ粘り。ファインニードル×ハードスパンらしいスプリント血統で、持ち前のスピードを生かした走りを見せた。直線に急坂のある阪神コースとスプリント寄りの配合の分、最後は粘り切れなかったが内容は上々。7Fなら平坦コース、もしくは6F戦ならさらに面白そうな印象を受けた。

 ④着デアヴェロ―チェも母が6F戦で2勝のミニーアイルで、父マテラスカイのスピード配合。こちらも距離短縮で内容は良くなっていたが、③着馬同様にもう少し距離は短くてもいいいか。

稍重の中山牝馬Sは欧州血統が優勢

 土曜に中山で行われたは前後半の3F36秒1=36秒0、5F59秒6=59秒2とほぼイーブンぺース。稍重の馬場もあり持続力勝負に強い欧州系の血を持つ馬が上位を占めた。

 勝ったエセルフリーダはキタサンブラック×ハービンジャー。ここまで5勝中4勝が中山の舞台巧者でもある。内枠を生かしての先行策。さらにハンデ53㌔も生かしての粘り込み。すべてが噛み合った重賞Vだった。

 ②着のビヨンドヴァバレーも1枠2番から好位での競馬。父はサンデーサイレンス系でも持続力型のイスラボニータ。母の父がガリレオで、母も仏GⅠオペラ賞の勝ち馬だ。機動力×重厚なスタミナの配合はいかにも今回の中山向きだった。

 ③着パラディレーヌだけがやや米国寄りの配合。父がキズナで、母の父がインリアリティの血を引くクロージングアーギュメントだ。母パラダイスガーデンは6F戦で4勝。父キズナは母系の特徴を引き出す傾向もあり、もう少し短いところでも見てみたい気はする。

 ④着エリカエクスプレスは母の父がガリレオで、⑤着ニシノティアモは母の父コンデュイットを見ても欧州系優勢は明らか。その点1番人気アンゴラブラックは母の父がルーラーシップでトニービンの血はあるものの、祖母の父はアグネスデジタルで母はミスプロのクロス持ち。父キズナもストームキャットの血を持っているから、今回に関してはやや米国色が強い配合だったか。良馬場で見直したい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間