【日本ダービー】伏兵ダノンデサイルがV チーム一丸で大仕事
公開日:2024年5月27日 14:00 更新日:2024年5月27日 14:00
皐月賞での苦渋の決断が生きた
第91代のダービー馬は皐月賞馬でも牝馬でもなかった。
制したのは横山典騎乗の9番人気ダノンデサイル。皐月賞の馬場入場後に、右前肢跛行を発症したため競走除外に。レースとしては京成杯以来となるから、まさに人気の盲点だったか。
しかも、この馬は「ボクに任されている」とは最年長制覇となった横山典。まさに“ハンドメード”のダービー馬だ。
デビュー戦④着から6戦連続(皐月賞も含む)でパートナーを務め、競馬を教えてきた。皐月賞の除外はまさに苦渋の決断だっただろう。だが、この勇気ある撤退が、今回に生きたのかもしれない。
また、大ベテランの判断はレースでも光った。
皐月賞でハナを切ったメイショウタバルが取り消したことで、「どの馬がハナを切るのか」というメンバー構成。横山典は愛馬をインの2番手に導いた。
道中はジャスティンミラノと前後する形で3、4番手。前半5Fが62秒2の超スローで、これによりサンライズアースやコスモキュランダは位置を上げたが、ダノンデサイルと横山典はあえて動かず。直線では逃げたエコロヴァルツが少し外に行ったことによってできたわずか1頭分の進路をスパッと抜けて、皐月賞馬を全く寄せ付けなかった。最後は2馬身差だから、この勝利はフロックではない。
後半5Fが11秒7―11秒3―11秒1―11秒2―11秒5で「56秒8」という究極の速さ。21年、シャフリヤールが勝ったダービーが57秒0で、これを塗り替える史上最速である。こうなると距離ロスが少しでもあってはダメ。そういう意味でも、ダノンデサイルは最高の競馬をしたといえよう。
オーナーサイドが鞍上を信頼して任せ、そしてダービー初出走で、41歳と史上最年少でダービートレーナーとなった安田翔師とは“チーム”となって馬をつくってきた。今回の勝利はその集大成ではないか。
競馬にチーム感は薄れつつある。だが、ダービー馬はデビュー前から関係者が一丸となってつくり上げるもの。ダノンデサイルの勝利は古き良き時代(?)を感じさせる結果といえよう。