「僕、暮れの中山の雰囲気って大好きなんです」
取材開始早々、こんなふうに話してくれたのは大澤幹朗さん。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のMCを経て、現在は海外競馬中継のMCとしてご覧の方も多いのではないでしょうか。
以前はよく食事会でご一緒することも多かったのですが、コロナ禍以降なかなかそんな機会もなく……。ところが今年になってまたご一緒する機会が増えたおひとりです。
先日もある競馬記者の「引退お疲れさま会」でもお会いできて登場をお願いしました。
12月の中山。有馬記念へ向けて一気に駆け巡るひと月。今は飾り付けもなくなった大きな杉の木や、夕方早い時間から日が落ちる独特の光の加減。スタンド上階からパドック側をみると遠くに富士山のシルエットが見えるほどの澄んだ空気。「ロイヤルファミリーは朝の描写ですけど、やっぱり夕方もいいんですよねー」。今話題のドラマの話も織り交ぜながら話してくれました。
その思いは私も同様に感じていたことでもあり、つい「わかるー。なんだろ、あのもの悲しさがなんとも言えないんだよね」。そんなふうに盛り上がりながら話は進みました。
小さい頃から競馬が好きだった父親に連れられて中山競馬場に行っていたという大澤さん。例えば1977年。テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラスのいわゆるTTG対決の有馬記念も観に行っていたそう。
「父親がその日、きょうはグリーングラスで勝負するぞ」。と言っていたことを覚えています。
「自分は内馬場の遊具で遊んだりする子供でした」。その後、テンポイントが日経新春杯で故障した報には「子供ながらに大変なことが起きてしまった」と思ったそう。競走馬の悲しい側面も父に教えてもらいました。
その後、すぐにトウショウボーイも引退し、1979年の有馬記念にはTTGの中で、グリーングラスだけが出走。それが引退レースでした。
「いいか、きょうが引退レースだから、勝っても負けてもとにかくグリーングラスを応援するぞ」と父親に言われたこともしっかり覚えているという大澤さん。「初めて覚えたカタカナもグリーングラス」だったそう。
「そこからグリーンが緑なんだということも知った」という、物心ついた頃にはすでに競馬が近い存在だったことがわかります。
大きくなって父と話した時に……
(続きは12月10日に更新)
競馬キャスター
テレビ東京の「土曜競馬中継」などでリポーターを務め、競馬サークルに幅広い人脈をもつ。YouTubeの「日刊ゲンダイ競馬予想」で武田、大谷記者とともに出演。また、毎週水曜には「目黒貴子のアツアツ交遊録」を連載中。




























