新設重賞しらさぎSは米子S時代のディープ主流から傾向に変化!? 府中牝馬Sも秋の別定戦から夏のハンデ戦で違った一面が
公開日:2025年6月24日 07:00 更新日:2025年6月24日 09:49
日曜阪神で行われたのは新設重賞のしらさぎS。昨年までリステッドの米子Sとして行われていたサマーマイルシリーズの初戦だ。
米子S時代は良馬場なら、阪神マイルらしくディープインパクトの血を持つ馬が活躍。同じ認識で予想したのだが、ディープの血を持つ馬で最先着だったのは⑦着リアルスティール産駒のレーベンスティール。母の父ディープのシヴァースは⑩着、キズナ産駒のボルザコフスキー、ダディーズビビッドは⑫着同着と散々な結果に。重賞に格上げされたことで、血統傾向も変わったか。
勝ったキープカルムはロードカナロア×母の父サクラバクシンオーの配合。同じ配合からは高松宮記念勝ち馬で、先週に英国で行われたクイーンエリザベスⅡ世ジュビリーSでも②着だったサトノレーヴや、23年高松宮記念勝ち馬のファストフォースがいる。
同配合は通算57勝のうち40勝が千二とスプリントタイプに出やすいのだが、キープカルムは3代母がダンスパートナー。キングマンボの3×4のクロスもあり、その辺がスタミナを補完し、マイルもこなせる要因となっているのだろう。
ファストフォースは21年のサマースプリントチャンピオンとなったが、同配合のキープはサマーマイルチャンピオンになれるのか。
②着は2冠牝馬のチェルヴィニア。オークス、秋華賞馬のハービンジャー産駒で、母の父キングカメハメハ。ハッピートレイルズの牝系だから、本質的にマイルは短い。今回はペースが遅かった分、追走に苦労しなかったが、ラストで差し比べて勝ち馬に見劣ったのは距離適性の差だろう。ただ、復調気配が見て取れたのも事実。中距離路線に戻ってくればあっさり勝ってもいいと思う。
この上位2頭以外に④着がヤマカツエース産駒のダイシンヤマト、⑤着はカナロア産駒のデビットバローズで、好走馬はキングカメハメハの血を持つ馬ばかり。これまでのディープ主流から今年は一転キンカメ主流になったのは興味深い。
東京で行われた府中牝馬Sはこれまで秋の東京の別定戦で行われていたレースだ。今年はマーメイドSに替わってこの時季に移動。ハンデ戦に変更となった。マーメイドSといえばハンデ戦ということもあり、前走条件級の馬が良く走っていたが、今回も前走3勝クラスを勝ち上がったばかりのカナテープが②着。前走条件馬の好走という傾向は今後も継続していきそう。
勝ったセキトバイーストも前走リステッド勝ちからの連勝。父デクラレーションオブウォーは現役時代はマイル~中距離で活躍したが、日本での産駒は千二~二千までまんべんなく勝ち上がっている。
母ベアフットレディは英7F重賞勝ち馬で、マイルのコロネーションS③着のストームキャット系のマイラー。セキトバはラーイの3×5のクロスもあるからスピード寄りのマイラーだ。②着に3馬身半差をつけた前走の都大路Sに、今回も着差以上に強い内容。同産駒は5歳になり本格化したシランケドもいるように、欧州型せ成長力のある血。今後の活躍が楽しみになる勝利だった。
②着カナテープはロードカナロア産駒で、④着も同産駒のウンブライル。⑤着はキズナ産駒のタガノエルピーダで掲示板に載ったうち4頭がストームキャットの血を持っていた(セキトバイーストは母がストームキャットの内包馬)。
秋に行われていた府中牝馬Sはイズジョーノキセキ、ディヴィーナなどサドラーズウェルズの血を持つスタミナタイプの活躍が目立っていたのだが、今回はスピード型が上位。こちらもしらさぎSと同様、来年からはイメージを一新して予想を組み立てる必要がありそうだ。
最後に新馬戦も少し振り返る。先週も相変わらず強かったのがノーザンファーム生産馬。10鞍で6勝を挙げた。なかでも注目はタイセイボーグ。新種牡馬インディチャンプ産駒で、同産駒はこれが初勝利。着差はわじかだったが、きっちり勝ち切ったあたりに勝負根性の良さを感じる。
インディチャンプは優駿スタリオンステーションで繋養されているのだが、初年度はノーザンファームが20頭以上配合。そのうちの1頭がタイセイだ。産駒は馬産地での評判も高いようで、ノーザンFのインディチャンプ産駒が出走してくれば注意しておいた方がいい。
逆に新種牡馬でまだ勝てていないのがコントレイル産駒。ここまで7頭が出走して③着2回と連対もない。自身が2歳GⅠを勝っているだけに、産駒も仕上がり早のイメージだったのだが、先週出走して1番人気になったビッグヒーローも「本当に良くなるのはまだ先」とは福永師。まだ新馬が始まって3週目ではっきりとは言えないものの、意外と初戦からバンバン走るタイプではないのかもしれない。