【宝塚記念】ブローザホーン父母から受け継いだ道悪の鬼ぶりと驚異の成長力をいかんなく発揮
公開日:2024年6月24日 14:00 更新日:2024年6月24日 14:00
同期の1番人気がダービーを制した時は未勝利だった
8回目の淀決戦。きのうの宝塚記念を制したのは、1番人気ドウデュースでもなく、昨春の天皇賞馬ジャスティンパレスでもなく、同期の5歳馬ブローザホーンだった。
やはり、雨が明暗を分けた。金曜が22ミリ、土曜はメインレースから雨で12・5ミリ、そして、日曜も午前8時までに21・5ミリを記録。ひと頃、やみ間もあったが、レースのファンファーレが終わった直後から土砂降りに。雨で煙る中でのレースとなり、完全に得手、不得手が分かれた。
4角を持ったままで上がってきたのが勝ち馬ブローザホーンだ。向正面までドウデュースの外11番手。3角の下りから進出すると、他馬が手綱をしごく中、楽な雰囲気でスピードアップ。進路を外に向け、4角を回り切る頃には約2~3馬身前にいた先行組をのみ込む勢いをつけていた。
「重馬場は苦にしないタイプ。4角を回る時も、(手綱を)持てるくらい余裕があった。追ったら伸びるな、という自信があった」
レース後、鞍上の菅原明がこう話したほど。迷わずの大外選択は、ローシャムパーク、プラダリアにベラジオオペラと鞍上の感触通りにかわして先頭へ。2馬身差をつけて人馬のGⅠ初戴冠を飾った。
母は芝の不良馬場での勝利があるオートクレールで、父は不良の菊花賞で5馬身差Vを演じたエピファネイア。確かに道悪巧者のバックボーンもあるが、単に天の恵みだけでは片付けられない。
同期ドウデュースが日本ダービーを制した時、まだ7戦して②着1回の未勝利馬だった。そこからキャリアを重ね、4歳の昨シーズンまで10戦5勝の好成績。2勝クラスからオープン入りし、5歳となった今年はGⅡ戦で日経新春杯を制し、阪神大賞典は③着。前走の天皇賞・春では課題の折り合い面に進境を見せて、メンバー最速の脚でGⅠ初挑戦ながら②着に食い込んだ。そして、今回だ。強烈な脚同様にエピファ産駒の中では一線を画す成長力があった。
「GⅠ馬となったので、(今後は)オーナーと相談して決めていきたい」とは吉岡師。果たして、秋、年末にはどんな馬へと成長しているのか。それが楽しみとなる今年の淀グランプリであった。