「とにかくのんびり、毎年春には、満開の桃の花を眺めています」
ハーツクライ産駒のフェイムゲームは4歳を迎えた2014年、ダイヤモンドSを勝つと、秋には同じ東京のアルゼンチン共和国杯を制覇。ステイヤーとして長距離路線を歩む。ダイヤモンドSは15年、18年にも勝利したほか、17年には目黒記念も勝つなど東京コースを得意とし、18年の目黒記念が引退レースとなった。今どうしているのか。
フェイムゲームの居場所を捜すと、福島県桑折町にある「にぐらや牧場(農園)」にいることが分かった。牧場の斉藤忍さんに話を聞いた。
「引退後はノーザンファーム天栄で乗馬に転用されたのですが、脚の状態が悪くなりました。実は私は装蹄師で、フェイムゲームの新馬戦から装蹄を担当していたので、場長の木實谷(雄太)さんから『功労馬としていかがですか』とお話をいただき、預からせていただくことになったのです」
斉藤さんの奥さまは、高市厩舎に所属した元厩務員で、牧場で余生を送ったミヤギロドリゴ(2014年5月21日死亡)の現役時代を担当した。競馬にゆかりのある一家だ。フェイムゲームはどんな様子なのか。
「日中は1頭で放牧し、夕方に厩に戻る毎日で、とにかくのんびりしています。今は脚元の状態もよく、内臓も問題ありません。おかげさまで元気です。毎年春には、満開の桃の花を眺めています」
桑折町は全国有数の桃の産地で、栽培される品種のひとつ「あかつき」は皇室に献上されるほど高品質だ。
「ウチも献上桃を栽培しています。1996年、天皇陛下が皇太子のときに雅子さまと一緒に『献上桃の郷』であるこの町を視察にいらしてくださいました。春は、ほんと桃の花がきれいなんですよ。フェイムゲームも桃の花が好きみたいですね」
馬が桃の花を眺めてのんびりなんて、絵になる光景だ。ちなみにフェイムゲームには、「桃をあげれば食べるだろうけど、あげたことはない」という。

























