【有馬記念】メイショウタバルは、まさにリアル「ザ・ロイヤルファミリー」

公開日:2025年12月23日 14:00 更新日:2025年12月23日 14:08

〝継承〟した日高の馬で亡きオーナー悲願の有馬記念制覇へ

 今年の下半期、競馬界で最も話題になったものといえば、TBS系のドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」で間違いない。

 この題材になっているのが早見和真氏による競馬小説。19年度のJRA賞馬事文化賞受賞作だ。

 14日(日)に最終回が放送された。競馬ファンのみならず、多くの視聴者が感銘を受けたドラマである。

 映像化にはJRAが全面協力し、第1回には武豊が、また後半にはルメール、坂井のほか、最終回には矢作師も出演。元ジョッキーの勝浦、現競馬学校教官の武士沢らの姿もあった。

 物語は人材派遣会社のワンマン社長で馬主でもある山王耕造と、その秘書・栗須栄治によって展開。耕造には大きな夢があった。それは自らの冠である「ロイヤル」の馬で有馬記念を制覇すること。栄治のいわゆる元カノである野崎加奈子の実家・ノザキファームが起死回生をかけて生産したロイヤルホープを庭先で購入し、有馬記念にも出走したが②着まで。その産駒であるのがロイヤルファミリーだ。

 だが、耕造はファミリーの有馬記念制覇を見ることなく死去。その後、馬は愛人の子である中条耕一が相続馬限定馬主として引き継ぎ、父の夢を継承する。

 父である耕造の口癖は「日高の馬で有馬記念を勝つ」だった。のちに耕一がその夢をかなえるところでドラマは終わるのだが……。

 このシチュエーションはこの馬と酷似していないか。そう、メイショウタバルだ。

 偉大な馬主だった松本好雄氏は今年、個人馬主としては史上初のJRA2000勝を達成。しかし、そのわずか6日後の8月29日に亡くなった。

 そして“メイショウ”の馬は子息である松本好隆氏が相続。勝負服も現在は父と同じものを使っている。

 ドラマの中条耕一はロイヤルファミリーのみの相続馬限定馬主、松本好隆氏は以前から馬主資格を持っており、15年にメイショウスザンナでクイーンSを制した実績もあるという違いはあるが、共通しているのは相続、継承というワードだ。松本好雄氏も生前、「有馬記念を勝ちたい」とおっしゃっていたという。

 メイショウサムソンでダービー、天皇賞・秋、メイショウマンボでオークス、秋華賞、エ女王杯など数々のGⅠを制し、今年はメイショウタバルで春のグランプリも手に入れた。

 だが、有馬記念には延べ9頭で〈0・1・0・8〉。00年にメイショウドトウが鼻差の②着に惜敗。勝ったのは同年8戦無敗となったテイエムオペラオーである。

 タバルは日高地方である浦河町・三嶋牧場の生産馬。父ゴールドシップと母メイショウツバクロも日高の馬だ。

 馬主が亡くなって子息が受け継ぎ、オーナーの夢である有馬記念制覇を目指すのはまさに“リアル・ザ・ロイヤルファミリー”。その走りは競馬ファンでなくとも気になるところだ。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間