【有馬記念】逃げるミステリー、差すパレス! 魅力たっぷりの伏兵2頭

公開日:2025年12月25日 14:00 更新日:2025年12月25日 14:12

ミステリーウェイ、再々度の逃走劇

 レガレイラ、ダノンデサイル、ミュージアムマイル、メイショウタバル……。人気サイドでも目移りする中、別記の特集にもある通り、有馬記念は伏兵にもチャンスのあるレースだ。今年も両極端の戦法を持つ2頭をピックアップする。

 2連勝の余勢を駆ってグランプリに挑む。松本とミステリーウェイだ。

 3歳1月のデビューから4年半後。7歳後半に覚醒した。走り切れない殻をやぶったのが、初めてのコンビとなった9月の札幌・丹頂Sから。後続を離す逃げから押し切ると、重賞初挑戦となった続くGⅡアルゼンチン共和国杯でも判を押したように同じ形で逃げ切った。

 前走はジワリとハナに立つと、そこからの5F間で11秒台を続けるペースを落とさない逃げ。丹頂Sと比較して1F間で約1秒速いラップを刻み、向正面では2番手を約1秒半ほど離している。そこから4角で一度、後続を引きつけて府中の長い直線を押し切った。

 実際に上がり4Fは46秒9―34秒6でまとめたから、後続を惑わす逃げに加え、時計勝負にも対応ができて、やはり覚醒したといってもいい。

「ミステリーは気性的に難しいタイプ。松本君は調教、返し馬、競馬と丁寧に乗ってくれたのは大きいですよ」と小林師はコンビの相性の良さも勝因のひとつに挙げた。いかにレース後半でやる気を出させるか。持てるポテンシャルを出し切れるのがここ2戦での逃げスタイルだろう。

「好走の疲れを心配しましたが、すぐに回復。思った以上に取れるのが早かったんですよ。背中も柔らかく使えて、今回もいい雰囲気ですね」

 最終追い切りは松本が騎乗して、Cウッド6F82秒9、38秒2―11秒8で軽快に駆けている。肌ツヤのいい馬体からしても、オープン入りに33戦も要した馬とは思えない充実度が今のミステリーにはある。

 今回の舞台は内回りでトリッキーな有馬記念コースだ。前2走のような後続を惑わす逃げを打てれば、大金星が待っている。

ジャスティンパレス、引退戦で末脚炸裂

 ジャスティンパレスの末脚に要注意。

 3歳秋に神戸新聞杯で初重賞を制すると、菊花賞でも③着と上位争い。そして、4歳春には阪神大賞典、天皇賞と連勝を決めてGⅠウイナーの仲間入りを果たした。

 宝塚記念は③着。秋には盾の春秋制覇に挑み、〝世界最強〟イクイノックスの②着に追い上げてきた。有馬記念④着でこの年を終える。

 当然、5歳時も期待されたが、国内外のGⅠで④⑤着はあれど、先頭ゴールとならない。6歳の今年も大阪杯、天皇賞・春と連続⑥着。それが、また輝きを取り戻しつつある。宝塚記念では前残りの中、大外から最速の末脚でグングンと③着に追い上げてきた。

 秋初戦の天皇賞ではいつもより前で運んで、直線でも手応え十分だったが、前が壁になるシーン。外に持ち出してマスカレードボール、ミュージアムマイルの③着と惜しい内容だ。

 初コンビだった団野は「後ろから行くことが多かった馬ですが、いいスタートを切れたので、あのポジションから。強い相手によく食らいついたと思います。最後はスムーズに追い出せなかったけど、力は示してくれました」と振り返る。

 続くジャパンCではカランダガンのレコード決着の中、⑤着なら悲観する内容ではない。

 中間も順調。先週は団野が手綱を取り、Cウッド6F83秒0―37秒7、1F11秒5で併入した。

「活気が出て、道中の雰囲気もしまいの反応もいい。年齢的にズブさが出ている部分もあるけれど、動き的には十分だったと思います。天皇賞に乗った時より感触が良く、動ける態勢だと思います」

 今週はCウッド4F53秒6―38秒2、1F11秒8。十分に余力を残し、種牡馬入りでラストランとなる大決戦の地へ。
 団野は秋の盾では悔しい思いをした。2回目のコンビで末脚全開といきたい。

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