亀井記者の血統ロックオン

サドラーズウェルズ系欧州馬のカランダガンの評価を落とした予想を猛反省

公開日:2025年12月2日 07:00 更新日:2025年12月2日 07:00

 レーティング世界1の金看板はダテではなかった。ジャパンCを制したのは欧州から参戦したカランダガン。それもアーモンドアイのレコードを0秒3更新する2分20秒3での勝利となった。

 今回の予想に関しては反省しかない。カランダガンは欧州馬で、父がサドラーズウェルズ系のグレンイーグルス。母の父も凱旋門賞馬シンダーと配合的にも欧州色の濃い配合だ。日本馬の好走が多いドバイの芝で走っているとはいえ、ダノンデサイルの②着とそこでも日本馬には勝ってはいない。まして東京に替われば日本馬により有利になるとと思い、無印にしてしまったからだ。

 その後の戦績を見てもカランダガンがドバイ当時よりもパワーアップしているの明らか。欧州馬=東京の馬場は不向きと安易にとらえ、思考をアップデートできなかったのは記者の方だった。

 それにしてもマスカレードボールとのたたき合いで、ゴール前でスッと前に出るあたりが欧州のトップクラスとしのぎを削ってきた底力なのだろう。今回は海外からのメディアも多数取材に来ていたようだし、カランダガンの勝利で来年以降も欧州のトップクラスがジャパンCに参戦するようになることを願いたい。

 秋の天皇賞馬マスカレードボールが②着。天皇賞の時にも書いた通り、やはりトニービンの血を持つ馬は東京でよく走る。東京芝は中距離がトニービン、マイルはデピュティミニスターは何度も書いている。やはり頭に入れておいて損はない。ただ、最後で差されたのはビハインドザマスクの牝系で、本質には二千向きのタイプだから。それでも超スローだった天皇賞と違い、ある程度レースが流れたここでも力を発揮できたのは収穫。晩成型の配合で確実に力をきている。

 ③着はダノンデサイル。ダービー勝利以来の東京戦で適性の高さを見せた。父が大箱コース向きのエピファネイアで、自身も東京向きのシアトルスルーのクロスを持っている。ただ、母系は米国色が強く瞬発力勝負ではやや分が悪い配合。その辺が上位2頭の差になったのではないか。

 ④着に今年のダービー馬のクロワデュノール。上位3頭は4角11、9、9番手。掲示板も後方から差してきた馬が占める中、好位から競馬をして粘ったのはこの馬だけ。特に直線を向いてグッと加速したのがサーアイヴァーの血を引く馬らしい瞬発力。最後は前にいたカラ馬が気になったか失速したが、展開を考えればよく頑張っている。キタサンブラック産駒でこちらもマスカレードボール同様にまだまだ成長の見込める配合。この3歳のダービー①②着コンビはどこまで伸びるのか、非常に期待感がある。

マクフィ産駒は力のいる芝+人気薄で要注意!?

 京都の最終レースに行われた京阪杯はエーティーマクフィが重賞初勝利。4歳以降はダート中心に使っており、今回が芝に戻って3戦目。母の父ハーツクライの成長力もあり、6歳にして重賞タイトルを手にした。

 ただ、マクフィ産駒はちょっと掴みどころがなく、産駒通算147勝のうちダート94勝で芝は50勝。JRAの重賞は今回の京阪杯で6勝目。うち5勝を芝で挙げているのだ。今年の新潟大賞典を制したシリウスコルトも芝で活躍している。もともと欧州でGⅠウイナーも多く出すドバウィの血筋。重賞級なら芝向きということか。ただ、ダートもこなせるためパワーがあるのも間違いない。思えばシリウスコルトも稍重での勝利。今回は最終週の馬場も良かったのだろう。

 あと同産駒は重賞勝ちの人気が1、9、7、2、8、7番人気と人気薄が多い点にも注目。実は父マクフィも人気薄で英2000ギニーを制しており、大物食いの傾向がある血なのだ。今回のエーティーマクフィも先に抜け出した1番人気のルガルを差し切り。2走前の青函S勝ちも12番人気だった。洋芝や荒れた芝のようなパワー馬場のマクフィ産駒は、人気薄でもチェックしておいた方がいい。

京都2歳Sで今後も買いたいサートゥルナーリア、リオンリディーズ兄弟の産駒

 土曜に京都で行われた京都2歳Sはサートゥルナーリア産駒のジャスティンビスタが①着でリオンディーズ産駒のアスクエジンバラが②着。サートゥルナーリアとリオンリディーズはともにシーザリオの仔で兄弟。さらに両馬は父がキングカメハメハ系だから非常に血統構成が近い。

 ちなみに、昨年の③着クラウディアイがサートゥルナーリアの産駒で、21年①着のジャスティンロックはリオンディーズ産駒。この2頭の産駒は京都2歳Sでまだ馬券圏を外していないから、よほど相性がいいのだろう。

 もともと開催最終週で持続力勝負になりやすい舞台。キンカメにサドラーズウェルズの血を引くこの2頭の産駒にマッチしているのも納得がいく。来年以降も、両馬の産駒が出走していれば注意しておきたい。

 1番人気のバルセシートはスタートで出遅れて後方から。キズナ産駒で母系にデインヒル系とサドラーズウェルズ系と欧州型のタフな血を持つ配合で、切れ切れのタイプではなく、こういう展開になると厳しい。レシステンシアの半弟だが、父がダイワメジャーから替わり、距離自体はもつと思っているので、再度中距離での走りを見てみたい気はする。








亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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