亀井記者の血統ロックオン

先週はキングマンボ系が重賞3勝。ロードカナロア産駒は今年のGⅠ2連勝

公開日:2025年4月1日 07:00 更新日:2025年4月1日 07:00

 いよいよ春GⅠシリーズが開幕。初戦は春スプリント王決定戦の高松宮記念だ。勝ったのはロードカナロア産駒のサトノレーヴでGⅠ初勝利。21年ダノンスマッシュ、23年ファストフォースに続いて3頭目の父子同一GⅠ制覇となった。

 サトノレーヴは6歳でのタイトルゲットとなったが、前記の2頭も6歳、7歳での戴冠。産駒は早い時期から走る傾向なのに、なぜかこのレースを勝つのは年を重ねた馬ばかり。思えばカナロアも高松宮記念を勝ったのは5歳だったし、スプリンターとして完成の域に入るのに時間がかかるのかも。

 レーヴは母の父がサクラバクシンオーで半兄も短距離路線で活躍したハクサンムーンという生粋のスプリント血統だ。昨暮れの香港スプリント③着と、海外でも通用する実力の持ち主。父の後継という意味でも大きなGⅠ勝利となった。

 今後は秋のスプリンターズSで春秋短距離GⅠ制覇を目指すことになるのだろうが、カナロア産駒はスプリンターズSと相性が悪い。これまで〈01112〉と勝ち鞍がなくレーヴも昨年は1番人気で⑦着。ジンクスを打ち破れるか。

 ちなみに、カナロア産駒はフェブラリーSのコスタノヴァに続き今年のGⅠ2連勝。今週の大阪杯には同産駒で連覇を狙うベラジオオペラが出走している。

 ナムラクレアは3年連続での②着。またしてもGⅠに手が届かなかった。父ミッキーアイルでディープインパクト直子。父自身もGⅠはマイルで2勝、高松宮記念は③②着だった。ナムラクレアは母の父ストームキャットの影響が強くスプリンタータイプなのだが、やはりGⅠの舞台ともなると生粋のスプリント血統との差が出るということなのか。

 ③着のママコチャもそう。父クロフネで母のブチコは千八で4勝。全姉ソダシもマイルGⅠ3勝。ピュアスプリンターというよりマイラー寄り。昨年(⑧着)の内容を考えればよく頑張ったというべき。もともと夏場に体調を上げる馬だから、今年2戦の内容を見ても状態がいいのだろう。同じ短距離GⅠならスプリンターズS勝ちがあるように、タフで先行力が生きる中山の方がいいタイプ。今の状態なら秋はさらに期待ができるのでは。

 ④着はビックアーサー産駒のトウシンマカオ。このレースに3頭出走したビッグアーサー産駒では最先着だった(ビッグシーザー⑨着、カンチェンジュンガ⑧着)。同産駒は意外と差しタイプが多く、内枠より外枠の方が成績がいい傾向がある。トウシンマカオの重賞4勝も7枠1回に8枠が3回。今回も出走した産駒では一番外の6枠12番。アーサー産駒を買うときは枠にも注意したい。

 昨年の勝ち馬マッドクールは⑥着。今年は6年ぶりの良馬場開催。外差し馬場で①~⑤着は全て2ケタ馬番の馬だから1枠1番枠がアダになったか。加えて、父ダークエンジェルは短距離型とはいえ欧州型で力のいる馬場の方がよりいいタイプ。マッドクールは母系にもサドラーズウェルズが入っており、重馬場では2戦2勝。昨年との違いはその辺ではないだろうか。

 残りの3重賞も軽く振り返ろう。

 日曜中山ではダート千八のマーチSが行われた。ダート転向後4連勝で注目を集めたロードクロンヌは③着。重賞初挑戦でハンデ57㌔。勝ちに行く競馬をして0秒1差③着なら負けたとはいえ上々の内容だ。母の半弟がダート重賞2勝のロードゴラッソで、母の父ブライアンズタイム。このパワー型の血がキングマンボの3×3のクロスで増幅されているのだろう。地方の深いダートの走り一度見てみたい。

 ①着ブライアンセンスはホッコータルマエ産駒で同産駒は重賞初勝利。父同様に中距離ダート型多く、同馬もキングマンボ系×ロベルト。この配合は機動力が高く、やはり小回りパワー馬場に向いている。

 土曜阪神の毎日杯はファンダムがデビューから3連勝。サートゥルナーリア産駒も重賞初勝利だ。サートゥルナーリアはロードカナロア直子の中距離型。同馬はサンデーの4×4のクロスで瞬発力が強化されており、今回も上がり32秒5で差し切り。ここまで3戦、スローペースの競馬しか経験しておらず、ペースが上がった時に対応できるかがカギだが、決め手なら世代でも上位にランクできる。

 先週の4重賞でこの3鞍はキングマンボ系の種牡馬が勝利。唯一違ったのが土曜中山の日経賞だ。稍重馬場で先行有利のパワー馬場になり、勝ったのはゴールドシップ産駒で母系にブライアンズタイムを持つマイネルエンペラー。②着チャックネイトも母の父がロベルト系のダイナフォーマーだ。力のいる中山になるとやはりロベルト系が無視できなくなってくる。ちなみに、日経賞は去年までキングマンボ系が3連勝中。もともと同系と相性のいいレースなのだが、今年は差しタイプが多く、馬場が向かなかった印象だった。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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