衝撃から20年後の殿堂入り──。キングカメハメハのJRA顕彰馬選出

公開日:2024年6月5日 14:00 更新日:2024年6月5日 14:00

「凱旋門賞に行っても面白かった」(安藤勝元騎手)

 きのう(4日)、JRAより顕彰馬の発表があった。

 選定されたのは2頭の日本ダービー馬。2004年のキングカメハメハと、2020年に無敗の3冠馬となったコントレイルだ。

 前者は、今年の日本ダービー週にスポーツ紙、夕刊紙の9紙合同特別企画「道は、ひとつじゃない。」で弊紙を飾ってくれた。

 この企画は日本ダービー馬となるまでの軌跡。〝初代〟変則2冠馬として著名だが、どんな意図があり、NHKマイルCからダービー馬の称号を得たのかを追うものだった。各方面に取材させていただいたが、主戦・安藤勝己元騎手の話は興味深かった。

 かいつまめば、NHKマイルC時に「負けるならここかな」と思い、5馬身差の圧勝で「絶対にダービーは勝つ」と自信を深めたそう。詳細は下記「関連記事」を読んでいただくとしよう。

 実は、取材の流れでダービー以降の話も安藤勝騎手からうかがっていた。

 キングカメハメハの3歳秋は神戸新聞杯からスタートした。上がり33秒7の脚で差し切り。天皇賞・秋で古馬との初対決が期待されていた矢先に右前浅屈腱炎を発症し、レース2週間前の10月23日に電撃引退が発表されている。

 先々への期待が高かった安藤勝にも精神的なショックを与えたという。

「古馬が相手だろうと、どこでも勝てるんじゃないかとも思える馬だったからね。屈腱炎が分かり、引退が決まってからは、今でいう〝○○ロス〟というのかな。オレ自身が引きずってた。ちょっとの間、競馬のリズムが悪かったもん」

 百戦錬磨の剛腕のメンタルにも影響を及ぼしたほど。実際に、騎乗停止なども重なり、同年127勝も挙げながら、10月は6勝、11月は1勝のみに終わっている。

 そして、安藤勝はこんな話もしてくれた。

「〝タラ・レバ〟の話になるけど、キンカメは凱旋門賞に行っても面白かったんじゃないかな。どんな馬場でも走れるタイプだったしね。湿ったダービー当日の馬場であのディープインパクト(05年)と同じ時計で勝っている。これは凄いことなんだから」

 アイネスフウジンのレコードを2秒も上回る2分23秒3だ。

 種牡馬としても競馬界に多大な功績を遺した今は亡き偉大なる馬が、20年の時を経て殿堂入り。遅すぎた気もするが、こんなエピソードを含めて、活躍当時を思い返したい。

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