北九州記念で狙うべきだったインリアリティの血 2歳戦好調ドレフォン産駒は芝、ダート、距離を問わないオールラウンダーな活躍
公開日:2025年7月8日 07:00 更新日:2025年7月8日 07:00
北九州記念はヤマニンアルリフラが3連勝で重賞初制覇を達成した。
母ヤマニンパピオネは繁殖として非常に優秀で、ここまでJRAでデビューした6頭の仔のうち、5頭が勝ち上がり。アルリフラはプロキオンSを制したヤマニンウルスに続き2頭目の重賞ウイナーとなった。
母自身はスウェプトオーヴァーボード×ジェイドロバリーの配合でダートの短距離を3勝。米国型スプリンターの血統だったのだが、肌馬としては種牡馬の良さを引き出す傾向がある。
例えば、ディープインパクト産駒のヤマニンサンパは芝の千八で3勝。ダートの中距離でデビューから5連勝を挙げたヤマニンウルスは父ジャスタウェイの母の父がワイルドアゲインで、ダート色がより強く出た配合になっている。
アルリフラは父イスラボニータがフジキセキ×コジーンとでインリアリティの4×5のクロス持ち。スピード豊富な配合で現役時代は2度レコード勝ちを挙げている。産駒も通算177勝のうち、マイル以下で128勝とスピード寄りだ。
加えて、父は6歳時の引退レース阪神Cをレコード勝ち。同じフジキセキ産駒には8歳で高松宮記念を制したキンシャサノキセキをはじめストレイトガール、カネヒキリ、ミラクルレジェンドなど、高齢になってから重賞勝ちを挙げた馬が複数いるように、息の長い活躍を傾向がある。もともと晩成傾向のある母系に、父系の似たようなイメージがあるから、この先のさらなる成長が楽しみになった今回の重賞制覇だった。
昨年②着のヨシノイースターが今年も②着。勝ち馬と血統的な共通点を探せばこの馬もインリアリティの血を持つ点か。今回のレースのポイントは米国型のスピード血統を考え、予想段階ではストームキャットの血を持つ馬を重視したのだが、結果的にはインリアリティ狙いが正解だったか。
ストームキャット内包馬で最先着だったのがアブキールベイ。父ファインニードルのスプリント血統だ。ファインニードル産駒は新潟千直でも好成績を残している点からも、アイビスSDに出てくれば狙ってみたい馬でもある。
④着ヤマニンアンフィルもヤマニンパピオネのでアルリフラの2つ上の半姉。こちらも年を重ねて力をつけてききた印象だ。父はダイワメジャーで弟同様のスピード寄りのタイプ。ただし、こちらはインリアリティもストームキャットも持たない配合だけに、今回は適性でやや見劣ったか。加えて、ダイワメジャーは連闘だと成績が落ちる傾向も。アンフィルもフレッシュな方が結果を出しており、連闘で目に見えない疲れがあったよう。それを差し引いて考えれば、十分健闘したといえる。
ここからは先週予告した通り、今年の2歳戦を振り返ってみたい。
先週まで2歳戦は48鞍が行われ、勝ち鞍トップは4勝でエピファネイア産駒とドレフォン産駒。エピファ産駒が2歳戦に強いのは最近の傾向通り。やはり目を引くのはドレフォン産駒の活躍だろう。
ドレフォンはストームキャット系の種牡馬で、現役時代はBCスプリントを勝つなど短距離路線で活躍。米国型らしく産駒は初年度から30勝を挙げ、ファーストシーズンサイヤーを獲得した。さすがに初年度は芝10勝、ダート20勝とダート寄りの傾向を示したが、初年度産駒のジオグリフが皐月賞をV。芝のGⅠ、それも中距離戦を制したことが種牡馬の価値を高めたのだろう。
その初年度産駒が結果を出した翌年に種付けされたのが今年の2歳世代だ。種付け頭数も前年の172頭→198頭まで回復。繁殖の質も上がった世代ということ。仕上がり早とはいえ、ダートのレースが少ないこの時期に〈4112〉と好成績なのがその証拠。繁殖の質で言えばノーザンファーム生産馬は4頭が出走して3頭が勝ち上がっている。
中距離芝のオープン馬だったアロマティコが母のロスパレドネスは千八芝でV。母が6Fダートで2勝のテルモードーサのペルセアは7Fダートで勝ち上がり。母系の適性次第でさまざまなタイプを出している。もともと産駒は父よりも距離が延びていい傾向を示してただけに、今後距離が延びてきてもペースダウンはなさそう。芝、ダート問わないオールラウンダーでもあり、今年の2歳戦でのドレフォン旋風はまだまだ続きそうだ。
ちなみにここでも何度か触れているがノーザンF生産馬で言えば今年の2歳戦は〈16 13 9 20〉と連対率5割のハイアベレージ。前記のドレフォン以外ではエピファ産駒〈3120〉、キズナ産駒〈2100〉、モーリス産駒〈2110〉と昨年の2歳リーディングトップ3の産駒は馬券圏率100%。しっかり走らせてくるので、この組み合わせも見かけたら忘れずに買っておきたい。