【日本ダービー・9紙合同特別企画 道は、ひとつじゃない】キングカメハメハ・新馬戦~毎日杯
公開日:2024年5月20日 14:00 更新日:2024年6月4日 15:17
【毎日杯】皐月賞トライアルには向かわず、すみれSから連勝で重賞初制覇
父キングマンボ、母マンファス。1頭の牡の鹿毛馬が、デビューを迎えたのは2003年秋の京都だった。舞台は芝千八。196日後の日本ダービーを制すことになるキングカメハメハだ。
504キロあったが、管理する調教師・松田国英は「特別に体が大きいわけでなく、筋肉量が多いわけでもない。まとまった自然な馬という印象。キングマンボの持ち込み馬という魅力はあった」と当時を振り返れば、主戦騎手でもあった安藤勝己は「平均以上の能力は感じたよ。ただ、当時はまだ馬も薄く、それほどバネを感じなかった。でも、とにかく乗りやすかったね。追えばしっかりと伸びてくれた」とデビュー時の印象を話す。
意外でもあるが、レースでは1番人気が当然であるかのように外から伸びて差し切った。折り合って運ぶ、実に冷静なレースぶりだった。
続く12月阪神のエリカ賞は、武豊で制して2連勝。3歳初戦で初重賞となった京成杯で③着と初黒星を喫した後は、皐月賞トライアルには向かわず、すみれSで3勝目。人気のサンデーサイレンス産駒勢に2馬身半差以上をつける快勝で再度、素質の高さを示した。
3歳の春を迎えた頃から一気に成長期に入ってきた。活躍する馬に一貫してみられる特徴だ。
「背中が良くて、乗りやすい馬だった」(福永祐一)
一戦ごとに力をつけて、5戦目で初の重賞タイトルを手にした。毎日杯で手綱を取ったのは騎手・福永祐一。安藤騎手がドバイWCで騎乗したため指名されたのだ。
前に2頭を見る3番手から、最後の直線は楽々と抜け出した。重賞でレベルが上がった中でも、すみれSに続く2馬身半差の快勝でもあった。
「急激に良くなってきていたんだろうね。素直な気性で競馬も上手に走ってくれた。安藤さんは、NHKマイルCで他にも馬がいて迷っていた。そっちに乗ってくれないかなと思ったくらい(笑)。背中が良くて、乗りやすい馬だった」
20年前をそう回顧した。