BCクラシック制覇まで1馬身! 3歳デルマソトガケ好走の裏にあった先輩ウシュバテソーロの支え
公開日:2023年11月15日 14:10 更新日:2023年11月16日 05:51
ソトガケを一変させた美浦での併せ馬
先週水曜、アメリカ・ブリーダーズカップ競走に挑戦した日本馬が帰国した。帯同したスタッフも後日、長旅を終え、トレセンへと戻ってきた。
今年のBC競走で日本馬9頭の最高着順はBCクラシックでのデルマソトガケ。勝ち馬ホワイトアバリオに1馬身と迫る②着好走には、11月5日の日曜朝、テレビの前で声が出た方も多いはずだ。
既報のとおり、今秋のデルマソトガケは決して順調ではなかった。左前肢の蹄を痛め、始動戦として予定していた日本テレビ盃を見送ることに。いくら上半期にサウジアラビア(サウジダービー③着)→UAE(UAEダービー①着)→米国(ケンタッキーダービー⑥着)と転戦した経験豊富な3歳馬とはいえ、順調さに勝るものはない。先行き不安なぶっつけBC出走でもあった。
「正直、使えるか、使えないかは乗り出してみないと分からなかったですね。もちろん、ソトガケを追い込むことにもなるので、やってみないと分かりませんでした」
担当の瀬川助手が当時の心中を教えてくれた。状況を考えれば、BC好走は〝奇跡的〟かもしれない。
レースへの過程でソトガケに急激な変化が訪れた瞬間があったという。それが出国検疫を兼ね、10月15日から10日滞在した美浦トレセンでのこと。
「関西馬は自分の馬一頭で、右も左も分からなくて。ウッドで半マイルを乗る際、ウシュバテソーロについて行ったんです。併走調教をお願いすると、高木先生が快く〝併せてくれていいよ〟と。これで変わりました。併せて分かりましたが、ウシュバは〝圧〟が凄いんです。それにソトガケが突っ込んで行こうとする。レースが近いことを察したようで、ここからグンと良くなったんです」
ドバイワールドカップを制した日本ダート界の総大将に胸を借りる形。GⅠレース並みの雰囲気となった調教が刺激を生んだのだった。
「美浦に着いた時も夜の遅い時間。JRAの職員さん、獣医さんが待って下さり、木村先生(調教師)には〝何かあれば、何でも言ってよ〟と言っていただけました。うれしかったですね。様々な方に助けて頂いたおかげです」
結果、ソトガケは米国・サンタアニタパーク競馬場に着いてからも上昇気流に乗れたという。
「高木先生を始め、ウシュバ、担当助手さんの懐の深さに感謝しています」(瀬川調教助手)
「ドバイ同様に近く、ウシュバは右斜め前の馬房。運動もそう。3歳馬で慣れない部分を年長馬のウシュバが助けてくれた感じでした。ウシュバは、人気を背負い日本馬初のBCクラシック勝ちという大きなプレッシャーがかかる中での調整過程。そこでも他厩舎のお願いを聞き、また引っ張ってくれた。高木先生を始め、ウシュバ、担当助手さんの懐の深さに感謝しています」
BCクラシックは、デルマ②着でウシュバは⑤着。着順でこそ上回ったが瀬川助手にはウシュバテソーロ、陣営に尊敬の念しかないという。
ウシュバは来春の目標にドバイワールドC連覇を掲げ、デルマもサウジCからドバイWCの転戦することがアナウンスされている。となれば、ドバイの直線でこの2頭が先頭を争いデットヒートを繰り広げる。そんなシーンを想像したくなるBC裏話であった。