【日本ダービー】今年の最大の特徴は上位人気馬の乗り替わりの多さ
公開日:2023年5月25日 14:00 更新日:2023年5月25日 14:09
今年のダービーで多いのが「前走からの乗り替わり」である。
シーズンリッチが角田河→戸崎、タスティエーラが松山→レーン、ドゥラエレーデがC・デムーロ→坂井、ノッキングポイントが藤岡佑→北村宏、ファントムシーフがルメール→武豊、フリームファクシがレーン→吉田隼、ベラジオオペラが田辺→横山和、ホウオウビスケッツが横山和→丸田と8頭もいる。
一昨年、06年は10頭もいて、これがフルゲートが18頭になってからの最多。だが、昨年は3頭しかいなかったから、多いと感じるのは当然だろう。
そう、ダービーで勝てないのが前走からの乗り替わり。グレード制導入以降、乗り替わって勝った例は2回あるが、実はもともとのお手馬に乗っただけ。理由があり、前走で乗れなかっただけなのだ。
85年のダービー馬シリウスシンボリは岡部→加藤和(現調教師)への乗り替わり。だが、その前4走は加藤が騎乗していた。
21年のシャフリヤールも前走の毎日杯は川田が乗って勝ったものの、ダービーでは福永にチェンジ。もともと新馬、共同通信杯(③着)は福永が鞍上だった。
つまり、レアケースによる乗り替わりの勝利はあっても、レースで一度も騎乗していない“テン乗り”では勝てないのがダービーの重みである。 ちなみに、最後にテン乗りで勝ったのは1954年のゴールデンウエーブ=岩下密政。もう69年も前になる。
ダービー馬は2歳の時から素質を感じた陣営が早くに騎手を決め、託されたジョッキーは実戦で競馬を馬に教えながら育てて、大一番に向かう――。実際、ダービー馬には一度も乗り替わっていない“不動”のコンビが数多くいる。
ざっと00年以降だけでも、00年アグネスフライト=河内洋(同)、05年ディープインパクト=武豊、06年メイショウサムソン=石橋守(同)、11年オルフェーヴル=池添謙一、12年ディープブリランテ=岩田康誠、17年レイデオロ=ルメール、18年ワグネリアン=福永祐一(同)、そして昨年のドウデュース=武豊。こんなにいるのだ。
だが、乗り替わりの大半は実は人気薄。同じく00年以降で137頭いるが、5番人気以内は24頭だけである。
69年ぶりにジンクスは破られるのか
今年はタスティエーラやファントムシーフのような上位人気馬にも乗り替わりが発生。その点が気になるところ。
思い出したいのが4年前、19年だ。この年の圧倒的1番人気はホープフルS、皐月賞とGⅠ連勝を含む4戦無敗のサートゥルナーリア。乗る予定だったルメールが騎乗停止となり、初来日ながら大暴れしていたレーンが代役となった。
だが、当日のイレ込みがキツく、④着に敗退。また、4番人気のアドマイヤジャスタが岩田康→M・デムーロで⑱着。5番人気ランフォザローゼスがルメール→福永で⑦着に敗れている。
勝ったロジャーバローズ=浜中は前走の京都新聞杯からのコンビだったが、②着ダノンキングリーの戸崎はデビューから不動のコンビ。③着の川田ヴェロックスも4戦連続での騎乗だった。
このロジャーバローズや、15年ドゥラメンテが皐月賞からM・デムーロが乗っていたように、最低でも前走から乗っていることがダービー馬への条件。ちなみに、今年、不動の関係を築いているのはわずかに2頭だけ。スキルヴィング=ルメール、ハーツコンチェルト=松山である。となれば、ダービー馬候補はかなり絞られた!?