【有馬記念】不動の主役だアーモンドアイ 7つ目GⅠ奪取へ牝馬最強タッグ国枝師&ルメール

公開日:2019年12月16日 17:00 更新日:2019年12月18日 16:21

 ファン投票1位、当日も1番人気が予想されるアーモンドアイ。近年のグランプリでは牝馬の好走がかなり目立つ。

 ダイワスカーレットは2007年に②着し、翌08年には1番人気を背負って逃げ切り。ブエナビスタは09、10年ともに1番人気で②着だった。14年はジェンティルドンナが有終の美を飾り、キタサンブラックのラストランとなった17年は伏兵クイーンズリングが②着で穴を。

 アーモンドアイへの期待も高まる一方だ。

 ただでさえ強い。そして、主戦のルメール、管理する国枝師ともに牝馬と抜群に相性がいい。

 まずは現役ジョッキーのJRAでのGⅠ勝利数トップ5は次の通り。武豊=77勝、M・デムーロ=30勝、横山典、ルメール=27勝、蛯名=26勝。

 これを牡馬(セン馬も含む)に限ると、武豊=55勝、M・デムーロ=25勝、横山典=20勝、蛯名=17勝、岩田康=16勝。ルメールの名前は出てこない。こちらは13勝。

 では、牝馬では――。

 武豊=22勝、ルメール=14勝、池添、福永=11勝、岩田康と蛯名=9勝。実は、ルメールだけがトップジョッキーの中で、牝馬のGⅠ勝ちが牡馬を上回っている。

 アーモンドアイでの5勝のほか、ソウルスターリング、メジャーエンブレムで2勝ずつ。ウオッカ、ディアドラらも。

 牝馬との好相性は日本に限ってではない。フランス時代の代表するお手馬もほぼ牝馬だった。

 例えばディヴァインプロポーションズ。04~05年にかけて10戦9勝で引退。GⅠモルニ賞、マルセルブサック賞、仏1000ギニー(桜花賞にあたる)、仏オークス、アスタルテ賞を制した名牝は全レースでルメールが手綱を取っていた。

 他にも仏オークス、ヴェルメイユ賞勝ちスタセリタ(ソウルスターリング、シェーングランツの母)、仏オークス、サンクルー大賞勝ちサラフィナ、同じくサンクルー大賞を制して、ディープインパクトが遠征した凱旋門賞で②着のプライドなど。フランス時代からルメールといえば牝馬の男だったのだ。

 国枝師も先輩の3冠牝馬アパパネがすぐ思い浮かぶように牝馬ステーブル。GⅠ勝ちは牡馬を合わせると、藤沢和=29勝、角居=26勝、池江=20勝に次いで16勝の順番。ところが、牝馬では11勝で13勝の角居師に次ぐ勝ち鞍を挙げている。

 国枝厩舎に入り、ルメールが乗ったからこそ、アーモンドアイはここまでGⅠタイトルを積み上げてこれた!?

 有馬記念も制すれば7つ目のビッグタイトル。あのシンボリルドルフやディープインパクト、牝馬ではウオッカ、ジェンティルドンナに肩を並べることになる。

遠征回避明けも心配無用

 香港遠征を微熱で回避したアーモンドアイ。美浦の国際検疫馬房が鬼門なのかもしれない。

 基本的には環境の変化には動じないタイプ。しかし、春のドバイ遠征ではこの馬房に入ってから馬体を10キロ以上減らしていた。今回は6キロほどの馬体減りで推移し、スタッフも安堵感を見せていた矢先のこと。

 薄暗く閉塞感のあるやや狭い馬房でのストレス、さらには周りの雰囲気や環境、気候……。さまざまな要因が絡み合ってのことだろう。

 凱旋門賞に出走したフィエールマンとブラストワンピースは福島県ノーザンファーム天栄での検疫を経て出国。今回のアーモンドアイはウッド調整を選択して、美浦の検疫に。これが結果として裏目に出てしまったか。

 とはいえ、気持ちの切り替えが早いのも女傑の長所だ。ドバイへ移動した際も広い馬房で減った馬体、輸送疲れもすぐに回復している。今回も普段の馬房に帰った途端、カイバ食いは戻り、いつものアーモンドアイに。

 一頓挫あったものの、レースは発熱してから23日後になる。これまでも桜花賞、秋華賞、ドバイ、天皇賞と逆境をはね返してきた馬。影響は限りなく少ないと言えそうだ。

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