亀井記者の血統ロックオン

神戸新聞杯で完勝のエリキングより、血統的に本番の菊花賞で狙いたいのは

公開日:2025年9月23日 07:00 更新日:2025年9月23日 07:00

 先週は日曜に秋GⅠを見据えた2重賞が行われた。

 阪神は菊花賞トライアルの神戸新聞杯。フルゲートになることが少なく、スローの決め手勝負になりがちなレース。特に阪神開催ではその傾向が強く、一昨年はレースの前後半3F36秒9=33秒6。その前に阪神で行われた19年も37秒1=32秒3だった。こういう決め手勝負で強いのがディープインパクト系で、一昨年はサトノダイヤモンド産駒のサトノグランツ、19年はディープ産駒のワグネリアンが制している。ダービーの上位馬が強いとも言われるレースだが、決め手勝負になりやすい点で求められる適性が似ているということだろう。

 今年も千㍍通過が1分2秒6のスロー。前後半の3Fは36秒9=33秒1の決め手勝負。勝ったのはキズナ産駒のエリキング。今年のメンバーで唯一ディープインパクトの血を持っていたのがこの馬だった。ちなみにダービーではメンバー最速の33秒4で⑤着。今回も中団追走から上がり3Fはメンバー最速の32秒3での差し切り。得意の決め手勝負で持ち味をフルに発揮した。

 加えて今回はプラス10㌔での勝利。母の父がサドラーズウェルズ系のハイシャパラルで、春からの成長も見逃せない。だが、菊花賞でとなると血統的には疑問が残る。まず、キズナ産駒は菊花賞に9頭が出走して④着が最高。加えて、SS系×サドラーズウェルズ系の配合も〈01110〉で勝ち馬は出ていない。近年の菊花賞でトレンドの血統はスタミナ寄りの父にスピード型の母系を掛け合わせた配合という点なのも気になるところ。

 ②着はショウヘイでダービーの③着馬。自身も上がり3F32秒9と脚は使っているのだが、ロードカナロア直子のサートゥルナーリア産駒で、勝ち馬と決め手の差が出たか。伯母がオークス、秋華賞を制したミッキークイーン、いとこがエリザベス女王杯勝ち馬のブレイディヴェーグだから、こちらも春からの成長は見込めるタイプ。とはいえ、父サートゥルナーリアの産駒は中距離寄りの傾向。さすがに菊花賞は距離が長すぎる感もある。

 上位勢で血統的に菊花賞向きなのは③着のジョバンニか。父エピファネイアで、母の父はストームキャット系のフットステップスインザサンドだ。父が菊花賞馬で母の父スピード系。先ほどのトレンドとマッチする。今回は決め手勝負で持ち味が生きなかったが、長距離戦で持続力を生かせる流れになれば十分チャンスはありそう。

 本番へ向けてもう1頭挙げるなら⑥着のアルマデオロ。父レイデオロは阪神大賞典勝ち馬のサンライズアースや昨年菊花賞③着のアドマイヤテラなどを出したスタミナ寄りの種牡馬。同馬は母の父サクラバクシンオーとスピード型。母シュガーハートだからキタサンブラックの半弟になる。前走は初の二千六百㍍戦を完勝したように距離が延びていいタイプ。出走してくれば注目しておきたい1頭だ。

オールカマーは平地重賞で初のきょうだいワン・ツー決着

 中山のオールカマーも千㍍通過が59秒9と一見はスローも、道中でフェアエールングが動いて出入りの激しい競馬に。ペース以上に先行馬は息が入れられずに厳しい流れになった。

 このレースは中山らしく機動力を生かせるロベルトを持つ馬が好成績で、特に内枠に入った場合はその傾向が強い。21年はスクリーンヒーロー産駒のウインマリリンは1番枠でV。22年はモーリス産駒で2番枠のジェラルディーナ。昨年4番枠から勝ったレーベンスティールも祖母の父がリアルシャダイだった。

 その傾向から母系にロベルトを持ち2枠に入ったリビアングラスを狙ったのだが結果は⑪着。ハナを切ったものの前記の通り出入りの激しい競馬で息の入らない流れになったことが厳しかった。ただ、着順ほど力差があるとは思えず、展開次第で十分に巻き返しがあっていいとは思っている。

 勝ったのはレガレイラで昨年の有馬記念以来のV。中山では皐月賞も勝っておりこれが3勝目だ。母ロカの全妹にはエッジ―スタイルがおり、その仔でレガレイラと同じスワーヴリチャード産駒のアーバンシックも中山二千二百のセントライト記念を勝っているように、この舞台がマッチするのだろう。しかも、今回はスタートでアオって中団からになったが、この展開ならかえって良かった。それでも472㌔と決して大型とは言えない牝馬で57㌔を背負って牡馬を負かした点はさすがGⅠ馬だ。

 ちなみに、中山が得意とは書いたものの、祖母ランズエッジはディープインパクトの半妹、母の父ハービンジャーにはサーアイヴァーの血が入っており、母はサーアイヴァーの6×5のクロスを持ち瞬発力のある配合。父スワーヴリチャードもJCなど東京で3勝。産駒も東京で最も勝っているなら東京の瞬発力勝負にも対応できる配合だと思う。

 ②着はドゥラドーレスでレガレイラの半兄。平地重賞では史上初のきょうだいワン・ツーだった。こちらはドゥラメンテ産駒で妹よりも末脚の持続力で勝負するタイプ。フェアエールングと道中一緒に動いて最後まで脚色は鈍らなかった。妹とは最後に決め手の差が出たものの、自分の競馬で負けたのだから仕方なし。ちなみに、この兄妹も実はハービンジャーがロベルト持ちでレースと相性の血が入っていたことは覚えておきたい。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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