亀井記者の血統ロックオン

桜花賞①②着馬に共通する距離延長に不向きな血とは

公開日:2025年4月15日 07:00 更新日:2025年4月15日 07:00

 日曜の関西はあいにくの雨。昼前から徐々に雨脚が強くなってきて、同日に開幕した大阪万博で行われるはずだったブルーインパルスの展示飛行も中止になったぐらい。大阪市内を飛行するとのことで、現地には行けなくとも見られるチャンスがあるかと思っていただけに残念でした。

 もちろん、阪神競馬場も雨で芝は13時前には良から稍重へと変更。桜花賞は千㍍通過が58秒6だから馬場を考えればエリカエクスプレスの刻んだペースは速かった。勝ち時計も稍重で1分33秒1。良馬場なら例年通り32秒台の決着になっていただろう。こうなると、やはりも持ち時計がモノをいう。

 勝ったエンブロイダリーは前走のウイーンCで1分32秒2のレースレコード勝ちがあった。血統的にも父アドマイヤマーズは千六GⅠ3勝のマイラー。初年度産駒からGⅠ馬を出したことは評価できる。父の父ダイワメジャーも稍重の桜花賞を制したレーヌミノルを出しているようにスピードをパワーを兼備しており、今回の前後半の3Fはともに34秒5、4F46秒6=46秒5といったイーブンペースで持続力を求められる流れも合ったのだろう。

「マイルより少し長い距離ももつと思っています。具体的なレースは馬の状態を確認し、オーナーサイドと相談して」とは調教師。確かに新潟千八で未勝利を勝ち上がり。母系も桜花賞、オークスの2冠を制したブエナビスタを出しているのだが、ダイワメジャーの産駒は二千以上の重賞でこれまで未勝利。そのメジャーに似たイメージのアドマイヤマーズも距離には限界があるだろう。二千四百のオークスなら評価は落としてもいい。

 ②着は2歳女王のアルマヴェローチェ。メンバー最速の上がり33秒9の決め手をみせたのはさすが。父は晩成型の中距離馬ハービンジャーで産駒には一昨年のオークスを制したチェルヴィニアがいる。とはいえ、母ラクアミがダイワメジャー×サクラバクシンオーでマイル以下で3勝。やはりここでもカギとなるはダイワメジャーの血。というのも、母の父ダイワメジャーの馬も重賞では二千㍍までしか勝ち鞍はないのだ。オークスでは同じハービンジャー産駒で母の父ダイワメジャーのナミュールが22年に③着しているが、ナミュールもその後はマイルCSを制したマイラーに。アルマもやはりベストはマイル~二千まで印象で、次戦がオークスならギリギリもつかもたないか。3歳春だけに完成度の高さでどこまで補えるかになってくる。

 上位3頭では③着リンクスティップが一番オークス向きな配合。父キタサンブラックで母の父は米国の芝中距離路線で活躍したキトゥンズジョイ。今回はスタートで遅れて接触する不利もあり後方から。初マイルで流れに戸惑いながらもラストは追い上げてきたから底力がある。半兄デュアルウィルダーは東京二千四百の青葉賞で③着。父キタサンブラック産駒も意外と直線の長いコースを得意としており、産駒は東京芝で最多の39勝を挙げているだけに、舞台替わりはプラスに働く。

 1番人気で⑤着だったエリカエクスプレスは好発からハナへ。今回もいいスピードを見せたが、ラストは失速。配合的にはエピファネイア×ガリレオの晩成中距離型だが気性が前向きすぎるので、現状はフェアリーSのような小回りマイルがベストのなるのかなの印象だった。ただ、ここからまだまだ成長力が見込める配合だけに、長い目でみてみたい。

 掲示板以外でオークスで見直したいと思ったのはウォーターガーベラ。父レイデオロは17年のダービー馬。産駒も桜花賞のひとつ前の大阪―ハンブルクC(二千六百㍍芝)でもアドマイヤテラが勝ったように、距離が延びていいタイプ。ガーベラの半兄ウォーターリヒトは東京で4戦3勝。東京新聞杯で重賞勝ちも挙げている東京巧者だから、妹も舞台替わりはプラスに出そう。今回は3コーナーで前をカットされ鞍上が手綱を引っ張る不利もあっての⑭着だから参考外でいい。

 土曜日の2重賞も軽く振り返る。阪神牝馬Sはサフィラが格上挑戦でV。全兄は朝日杯FSなど重賞4勝のサリオス、半姉に府中牝馬S勝ちのサラキアがいる良血だ。もともと晩成傾向のある母系だが、同馬も以前は440~450㌔だったのが、3歳の昨年秋から460㌔台に成長。それにつれて③①③①着と成績が安定してきた。ここからもうひと伸びしていい血だけにこれからの活躍が楽しみ。

 中山で行われたニュージーランドTはマクフィ産駒のイミグラントソングがV。母が7F以下で3勝を挙げたエルノルテとスピードタイプ。器用さに富むフェアトライアルの血脈を多く持った小回り向きのマイラーだ。それだけに大箱の東京で行われるNHKマイルCはと言われるとやや疑問が残る配合。それなら今回②③着のアドマイヤズーム、コートアリシアンの方が母の父ハーツクライで母系に東京向きのトニービンの血を持っており、本番向きといえる。

亀井辰之介

 競馬好きの父親の影響もあり、子供のころから競馬中継を一緒に観戦。最初は父親が馬券を当てるともらえる臨時の小遣いが目当てだったが(ただし、父は穴党だったため、あまり的中した記憶はない……)、ある日、シンボリルドルフといういかにも強そうな名前の馬が、強く勝つ姿に魅入られたのが競馬ファンになったはじまり。
 その後はテレビゲームの競馬ソフトにどっぷりハマり、今までに遊んできた競馬ゲームは数知れず。その時に競走馬の配合の奥深さを知り、血統に興味を持ったのが今の予想スタイルの根幹か。現在でもたまにゲームをたしなみ、好きだった競走馬の産駒を活躍させることが小さな喜び。
 予想スタイルはもちろん“血統”。各馬の血統を分析。得手、不得手を見極め得意条件に出走する時に狙い撃ち! 好配当を目指します。

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