【ラジオNIKKEI賞】オフトレイル収穫ありの重賞初制覇

公開日:2024年7月1日 14:00 更新日:2024年7月1日 14:00

脚質に幅が出てレコードタイ勝ち

「勝利の味? おいしかったです」

 満面の笑みでインタビューに応えたのは田辺。地元・福島のラジオNIKKEI賞を制して、故郷に錦を飾った。

 騎乗したオフトレイルはここまで好位差しで結果を残してきたが、この日はゲートが決まらず1頭だけ出遅れ。最後方からの競馬となる誤算があった。

 だが、慌てないのがベテラン田辺。腹をくくっていたずらに動かず、直線勝負に徹した。結果的にこの判断が功を奏す。

 前半3~5Fが34秒5―46秒4―58秒4と良馬場とはいえ、直前に雨が降った馬場を考えれば速い流れ。また、拍車をかけるように1番人気サトノシュトラーセが向正面で動いたため、さらに息の入らない形で先団も中団も軒並み苦しくなってしまった。

 それをオフトレイルは一番後ろから大外を回って進出。上がり3F34秒2の脚を繰り出して、直線一気の追い込みを決めた。田辺のエスコートを差し引いても“鮮やか”のひと言である。

 勝ち時計1分45秒3はコースレコードタイと記録面も優秀。そして、何よりも脚質の幅が広がったことは、今後に向けても大きな収穫といえる。

 春は4月にGⅢアーリントンCで重賞に挑戦したものの、切れ負けして⑥着止まりでGⅠ出走はかなわなかった。

 そこから2カ月半での成長。これまで派手さはなかったが、相手なりに走れる強みはあった。そして今回も含めて、全7走で5人の騎手が乗り替わっても崩れない操縦性の高さ。そして、ここで新たな武器も手に入れただけに、今後の展望も開けてくる。

「一息入れてマイルから中距離路線くらいを考えます」とは吉村師だ。

 次走からは年長馬、そしてさらに大きな舞台での戦いになる可能性は高い。それでも十分、太刀打ちできる楽しみな存在が出てきたといえよう。

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