【有馬記念】これがラストラン タイトルホルダー花道を飾れるか

公開日:2023年12月18日 14:00 更新日:2023年12月18日 14:00

ここまでの競走生活はまさに不撓不屈

 いよいよ有馬記念ウイークがやってきた。ファン投票1位のイクイノックスは引退し、2位のリバティアイランドも出走しない。ファン投票1、2位不在の有馬は創設以来、68回目にして初めてのことだ。それでもGⅠ馬8頭の豪華メンバー。中でも実績一番はタイトルホルダー。菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念を制して3勝を挙げている。このレースを最後に引退して種牡馬入り。父は早逝したドゥラメンテで、貴重な血を残す重要な役割が待っている。過去2年も出走して⑤⑨着。果たして、今回、ラストランVを飾れるか――。

 ジャパンCでGⅠ6連勝を達成し、22億円超えの賞金を獲得したイクイノックスにドバイターフやサウジCを制したパンサラッサが引退を表明。そして、タイトルホルダーもこの有馬記念がラストランとなる。

 ここまでGⅠ3勝を挙げている、そんな名馬をひと言で表すなら“不撓不屈”だろうか。これまでも強靱な精神力で幾度となく困難を乗り越えてきた。

 振り返れば、3歳秋のこと。菊花賞に向けて臨んだセントライト記念は直線で前が詰まって⑬着と大敗を喫した。これが最初にぶち当たった壁。しかし、本番では5馬身差をつける鮮やかな逃走劇でクラシックホースに輝いている。

 直後の有馬記念の時もそう。中間に放馬するアクシデントに見舞われ、レース後も右トモを痛めて翌春のローテーションが白紙になりかけた。

 それでも日経賞で貫禄を示すと、春の天皇賞も他馬を寄せつけず7馬身差。さらに宝塚記念は前記パンサラッサのハイペース逃げにも動じることなく、2番手から楽に抜け出して阪神二千二百メートル2分9秒7のレコード。圧巻の3連勝である。

 4歳秋は凱旋門賞に挑戦した。日本では現役屈指の道悪巧者だが、豪雨による想定以上の馬場悪化で⑪着に沈んだ。巻き返しを期して臨んだ有馬記念も⑨着。本来の姿を取り戻せなかった。

 ただ、ここで終わらないのがこの馬の真骨頂。5歳初戦の日経賞はキャリアにおいて最大着差となる8馬身差をつけ、連覇を狙って春の天皇賞へ。ところが、2周目4コーナーで右前肢跛行を発症して競走中止。よもやの結末となった。

 放牧を挟んで迎えた今秋も、懸命に這い上がろうとしている。

 まずはオールカマー。「ベースをつくる」(栗田徹師)という意味合いで調教はすべて単走、かつ馬なりのみ。こんな状況ながら②着と地力の高さを証明した。続くジャパンCでは強敵相手に掲示板入り。もちろん、陣営は3度目の有馬記念で勝って大団円のシナリオを描いている。

「(過去2年は)運がないですね。枠順や帰国明けとか使うタイミングも悪くて。このレースだけにフォーカスすると何だか……という感じを受けるけど、ダメではないと思ってますよ」

 中間は在厩調整で順調そのものだ。1週前はウッドで5F66秒4―36秒8、1F11秒5。好調時に見せる小気味いいフットワークが戻った。

「もともとこの秋は3戦と聞いてたので。牧場とは立ち上げる過程やケアの内容をすり合わせて、できるだけ同じようにやってきました。動きは軽いし、左右のバランスも問題なかったですね」

 まさに一歩一歩、日々の積み重ねが実を結びそう。完全復活でフィナーレを飾れるか――。

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