【菊花賞】春の2強を破ったドゥレッツァ

公開日:2023年10月23日 14:00 更新日:2023年10月23日 14:00

尾関師は5年前のリベンジ成功

 ダービー馬、皐月賞馬ですら影を踏ませず、3馬身半差の圧勝――。冴えに冴えたルメールの手綱さばきで4番人気ドゥレッツァが最後の1冠・菊花賞を制覇した。

「静かな騎乗をしたかったのですが、返し馬から馬に元気がありました。また、フライング気味のスタートを切ったので、“逃げ切りましょう”と思いました」

 こう振り返ったルメール。スタートから最初のコーナーまでの距離が短く、その直後には下り坂が待ち受ける淀の三千メートルで、大外枠からの発走。非常に繊細な騎乗が求められる状況だったが、いとも簡単に主導権を握った。

 前半5Fは60秒4の流れを淡々と刻んだが、次なる試練は2角で他馬がきて絡まれる形に。中盤の5Fは64秒1とガクンとペースが落ち、位置取りも3番手に下げたが、落ち着いた走りで「休憩しながら、息を整えました」と。このあたりは豊富な経験のたまものだろう。

 脚を温存すれば、あとは直線ではじけるだけ。最内の経済コースから馬場の真ん中に持ち出すと、難なく先頭に立って、上がり3F34秒6の末脚で後続を引き離した。

 ルメールはこれで菊花賞は③①⑦①⑨②②①着で〈3212〉の良績。春の天皇賞でも3勝と、長距離GⅠにおいての安定力は際立っている。

 もちろん、勝ったドゥレッツァも前途洋々だ。

 春2冠終了時点では2勝馬の身だったが、重賞初挑戦、そして破竹の5連勝でGⅠ馬へと上り詰めた。機動力、緩急の自在性、場所を問わずに上がり最速を連発している瞬発力、そしてまだ底を見せていない成長力。新たなスターの誕生と言っていいだろう。

 5年前、同じように夏の新潟3勝クラスを勝って直行で菊花賞に臨んだ厩舎の先輩グローリーヴェイズ。同じく大外枠で⑤着と敗れた(グローリーは18番)が、その後は香港GⅠを2度も制覇。先輩の雪辱をも果たした格好だ。

「二千四百メートル以上ならトップレベルで走れます」

 名手のお墨付きをもらったドゥレッツァ。どこまでタイトルを上積みできるか楽しみである。

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間