データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

チャンピオンズCのとんでもない記録

公開日:2019年12月3日 17:00 更新日:2019年12月3日 17:56

 クリソベリルが負けるとすれば今回のチャンピオンズC(写真)だと思っていた。恐らくファンの中にもそういう思いがあったのではないか。5戦5勝という凄い成績を引っさげながら、2番人気に甘んじたからだ。

 ところが……。クリソベリルは大物だった。しかも、“超”がつくほどの。10年に1頭レベルの逸材かもしれない。それを△にとどめてしまった自分の予想を恥じるのみである。

 千八の新馬、五百万条件(現1勝クラス)を勝った後は地方の交流重賞を3戦。今回、ペースも相手も、決着時計も違う。なのに道中は楽に追走して、最後はインティとゴールドドリームの間をグイッと出た。これだけでも凄いが……。

 前3年のこのレースは判で押したように千八1分50秒1での決着だった。それが、今年は良馬場で1分48秒5。昭和の記録まではわからないものの、良の千八ダートで1分48秒台が出たのは、12年のJCダートでニホンピロアワーズが1分48秒8で勝って以来。恐らく史上最速ではないか。

 また、もう一つ、とんでもない記録を見つけることができた。レースの後半5Fのラップは12秒1―12秒0―12秒0―11秒6―12秒1で、何と59秒8! 良馬場の千八で1分を切ったのも初めて。時計、後半のラップは特筆もので、記録派にとっては“目からウロコ”のレースといえる。

 当然、上位馬はすべて高評価。勝ったクリソベリルだけでなく、②着ゴールドドリームは6歳になっても衰えのないことが確認できたし、③着インティも普通なら勝っている競馬。④着チュウワウィザードは14戦目にして初めて馬券圏外となったものの、JBCクラシックを勝った力はダテではなかった。

 さて、話を中山に。意外だったのは芝の見た目が緑というよりは薄茶色といった感じ。「思ったより悪いのか」と競馬が始まる前は考えたが、時計や傾向はいかにも開幕週というもの。

 実際、とにかく内枠有利で、8番から外は〈14267〉。勝ったのは枠順どうこうがないステイヤーズSで、それを除けば〈03263〉。使うごとに少しずつ外も馬券になるだろう。とはいえ、今週あたりまでは特にマイル以下において、内枠重視の姿勢がいいと思う。

 先週の芝から、外枠が敗因の重要な部分と思える馬は、まず土曜12R3歳上2勝クラス、千二で④着のハイヤーアプシスに、日曜4R2歳未勝利、千六で⑤着のファートゥア。今回は折り合いが良くなかっただけに、距離短縮で。

 内枠でも、脚質的に最後に外を回って猛然と追い上げたのが、日曜の南総Sで④着のグッドジュエリー。さすがに差し届かなかったものの、上がり33秒3の脚は目立った。明らかに現級上位の力は見せていた。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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