データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

東京は2歳戦4つの距離すべてでレコード

公開日:2019年11月19日 17:00 更新日:2019年11月19日 17:00

 最内枠というのは、いわば“諸刃の剣”だ。

 距離のロスなく運べるというのが最大のメリットだが、インで詰まるリスクがあったり、また馬場の内側が荒れてくると外に出せないことが敗因につながったり……(もちろん、最内だけに当てはまる話ではないが)。

 マイルCS(写真)のダノンキングリーは悪い方に出てしまった。京都への輸送もスムーズにこなし、あとは直線で名手・横山典がうまくさばいて外めに出してくれれば、と思っていた。ところが、7週目で荒れた芝に切れ味を殺され、初めて馬券圏内を外す⑤着に。この馬の不発は正直ショックだが、まだ3歳だ。来年にはGⅠに手が届く馬という考えに変わりはない。

 東京も同じく7週が終了。しかし、京都と大きく違うのは、使えば使うほど芝の時計が速くなっていくという点だ。

 土曜の2歳重賞、東スポ杯では芝千八1分44秒5というスーパーレコード。従来の記録を1秒4も塗り替えたというのはコントレイルの強さ、5馬身差圧勝という部分を差し引いても尋常ではない。

 東京の2歳戦で芝は千四、千六、千八、二千と4つの距離で組まれている。秋開幕週のサウジアラビアRCではサリオスが千六1分32秒7、東スポ杯で逃げたマイネルデステリョは前走、未勝利で二千1分59秒8のレコードVだった。京王杯2歳Sではタイセイビジョンが千四1分20秒8を出し、前記マイネルの記録は先週、サトノフラッグが0秒3塗り替えた。そしてコントレイルだ。

 つまり、この秋、4つの距離すべてでレコードが塗り替えられたことになる。もちろん、馬が強く速くなっているのは確か。だが、それだけではないだろう。一体、日本の競馬はどこに向かっているのだろうか。

 そうはいっても、コントレイルがGⅠを狙える超大物であることは疑いようがない。「良馬場の2歳重賞で②着に0秒8差以上をつけた馬」は過去30年で8頭。そのうち、93年ヒシアマゾン=阪神3歳牝馬S(レース名は当時のもの。以下同)、96年シーキングザパール=デイリー杯3歳S、97年グラスワンダー=京成杯3歳S、03年メイショウボーラー=小倉2歳S、06年アストンマーチャン=ファンタジーS、16年レーヌミノル=小倉2歳Sと6頭が3歳、もしくは4歳時にGⅠを制しているのだ。

 コントレイルの衝撃の直後、土曜12R3歳上2勝クラス、芝千六のヴィッテルスバッハもなかなかの勝ちっぷりだった。最後方から上がり33秒0で全馬をゴボウ抜き。レースの上がりを1秒1も上回って勝った末脚は魅力。ニュージーランドT③着だから中山替わりもOKだが、やはりベストは東京か。来年のさらなる成長に期待したい。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

著者詳細、記事一覧へ

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間