データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

サフラン賞勝ちマルターズディオサは今後も注目

公開日:2019年10月1日 17:00 更新日:2019年10月1日 17:00

 秋GⅠシリーズの幕開けとなったスプリンターズSは、上位人気の3頭が①~③着という非常に順当な結果に終わった。

 ◎モズスーパーフレアは大方の予想通りのハイラップ逃げ。ただし、前半3F通過32秒8は正月のカーバンクルSと全く同じでも、今回のテンの1Fは11秒9だった。すでに他馬より1馬身ほど前に出ていたが、見た目は“普通”の速さ。

 この馬にはオーシャンSで1F11秒4という凄い数字がある。古くは1987年のBSN杯(新潟芝千二)で、快速で鳴らしたサガミコトブキという牝馬が11秒3で出た記録が残っていて、これが全レースの史上最速。モズの11秒9にはもう少し飛ばしても……と思った次第。

 もちろん、そうすると失速の可能性は高まる。だが、せっかくのGⅠの舞台だ。武器を最大限に生かして、他馬を翻弄してほしかった。

 勝ったタワーオブロンドンに関しては「恐れ入りました」と言うしかない。サマーシリーズを3戦し、さらにセントウルSがレコード駆け。そこからの中2週で、よく状態を保てたと思う。

 千四以下では〈5110〉。こんなに末脚が安定している馬も珍しい。

 ダノンスマッシュは直線が平坦な京都、新潟、函館、札幌では〈5200〉、東京、中山、中京、阪神では〈1015〉。GⅠ級なのは間違いないものの、平坦の方が信頼できるのは確か。まだ腰がパンとしていないということかもしれない。

 驚いたのは⑦着ハッピーアワー。横山典らしい後方に構える競馬で目いっぱい脚をためたとはいえ、上がり33秒1の脚を引き出し、0秒5差にまで詰めた。中山よりも直線が長いコースに替われば、面白い存在かも。

 同じ日の9Rサフラン賞は2歳1勝クラスのマイル戦。上位はなかなかのメンバーだった。

 レースは9頭立てとあって3F通過35秒3、5F60秒0のスローで流れたが、上がり34秒3の切れ味勝負で後ろからズバッと差し切ったのがマルターズディオサ。この馬はかなり将来性が高いように思う。

 前走の未勝利勝ちも印象的だった。8月31日、新潟1Rの芝マイル戦。ゲートの中でうるさく1頭だけ目立つ出遅れ。当然、前半は最後方にいた。それが、残り800メートルあたりから加速して、インをスイスイ。気付いた時には前に取りつき、300メートルあたりでは先頭に。

 当時は早く1頭になったためか、追われてからフラフラしていた。それが、今回は②着マジックキャッスルとたたき合ったのもあっただろう、最後までしっかり真っすぐ伸びていた。

 このラスト2Fは11秒1―11秒4。逃げた新馬戦こそウーマンズハートの鬼脚に屈したものの、その後の2戦では切れる面を見せており、マイルまでの馬でもなさそう。先々まで注目したい。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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