【セレクトセール総括】バイヤーの主役は今年もダノックス、藤田晋氏
公開日:2024年7月11日 14:00 更新日:2024年7月11日 14:00
驚愕の5億9000万円 まだまだ続くキタサン祭り
今年も、いや、今年は昨年以上に“活発”となった。北海道苫小牧のノーザンホースパークで8、9日の2日間にわたって行われたセレクトセールである。
初日は1歳、2日目は当歳で、2日目の落札総額は昨年にはわずかに及ばなかったものの、2日間の総額は289億1800万円。今年も過去最高を更新した。
マーケットの盛り上げに一役買ったのが、今年の日本ダービーをダノンデサイルで制した「ダノックス」。
初日の1歳は計4頭を落札し、総額は驚異の12億円。2日目の当歳はやはり4頭の落札で、総額は8億1500万円。合わせて20億円以上の“お買い上げ”である。
そして今年も話題を振りまいたのが、フォーエバーヤングの藤田晋氏。初日は5頭を8億5000万円で落札し、2日目は6頭で9億9000万円。今年も18億以上の爆買いである。
藤田オーナーのセレクトセール参加は21年からだが、3年連続で総額は20億超え。今年は若干、少なかったものの、存在感は十分すぎるほど。
そんな氏がまさかの競り負けとなったのが、初日のキタサンブラック産駒。上場番号100番の「デルフィニアⅡの23」だ。1歳で史上最高となる5億9000万円となり、衝撃の金額にセリが決着すると会場は拍手に包まれたほどだった。
また、今年はアメリカのリポール・ステーブルが初日に5頭、2日目に2頭の計7頭を落札したことも話題となった。
代表のマイク・リポール氏は昨年のBCジュベナイル勝ち馬で、今年のケンタッキーダービーで1番人気だったフィアースネスなどを所有している米国の大物馬主。今年がセレクトセール初参加だったが、コントレイル産駒の牡馬であるサウンドバリアーの23や、ドレフォン産駒を積極的に購入。コントレイルの牝系はアメリカだし、ドレフォンも米GⅠ馬。また、BCディスタフなどGⅠ6勝のジンジャーパンチのキズナ産駒は、姉にルージュバック、兄にポタジェがいる血統。名牝の産駒をまさに逆輸入といった形になりそうだ。
コントレイル、エピファネイアも牡馬は次々3億超え
セールの主役となった種牡馬は今年もコントレイル、キタサンブラックとエピファネイアだ。
昨年はコントレイルの当歳、コンヴィクションⅡの23が5億2000万円、税込みでは5億7200万円となったのを筆頭に、税込みで3億超えが1歳、当歳合わせて12頭も。そのうち、当歳のみだったコントレイルは3頭、キタサンブラックは5頭で、エピファネイアは2頭。つまり、この3頭以外で3億超えとなったのは2頭のみ。そのうちの1頭が現2歳で、6月2日の東京で新馬戦を勝ったスターウェーブ(父はキングマン)だ。
今年も傾向はほぼ同じだった。
初日の1歳はキタサンブラック産駒が5億9000万円、4億円(ともに落札価格で税抜き)で上位2頭に。3~6位の4頭にエピファネイアが続き、コントレイルは2億5000万円が2頭という結果に。
キタサンは初年度産駒からイクイノックス、2年目からソールオリエンスとGⅠ馬が誕生し、さらにダート重賞3勝のウィルソンテソーロ、GⅠで何度も善戦しているガイアフォースなど、芝のマイルから長めの距離、ダートまで活躍の幅がとにかく広い。
当歳も最高価格はキタサンブラック産駒の牡馬、セリエンホルデの24で4億1000万円。上位7頭のうち、6頭をこの3頭の産駒が占めた。
また、他に注目としては、世界で初の上場となったフライトラインの当歳3頭のうち、2頭がともに2億1000万円で落札された点か。
6戦6勝、GⅠ4勝、レーティング140の輝かしい成績を引っ提げて種牡馬入り。22年のBCクラシック馬で、とにかく圧倒的なスピードの持続力を誇った。これを受け継ぐ産駒が出てくるか。
来年はイクイノックスの当歳が上場される予定だ。キタサンブラックとの〝親子対決〟で、さらに札束が飛びかうことになりそうだ。