今村、永島も 女性ジョッキー5人と角田河が30日間の騎乗停止に
公開日:2023年5月3日 14:30 更新日:2023年5月3日 14:30
難しい厳格なルールの運用
あまりにもお粗末といえばお粗末である。
JRAは3日、栗東所属の若手騎手である今村聖奈、河原田菜々、永島まなみ、古川奈穂の女性4人に、2年目の角田大河、美浦所属で今年デビューの小林美駒の計6人を30日間の騎乗停止とする発表を行った。理由は通信機器の不適切使用のため。
この6人は騎手としての注意義務を怠ったとして、競馬施行規定第147条第19項により、5月13日(土)から6月11日(日)まで騎乗停止となる。
まず、制裁の対象となったのは4月23日(日)の15時過ぎ、河原田、小林美、永島の3人が福島競馬開催中に女性ジョッキーの控室においてスマートフォン(以下、スマホ)を使用したという情報が採決委員に寄せられた。事情聴取の結果、3人とも使用を認めた。また、同日に福島にいた古川奈も使用を認めた。
今村は同日、京都のジョッキールームでの使用が判明。その調査の際、前日夜にホテルを認定調整ルームとしていた角田河が、競馬場にいる今村と電話していたことも明らかになった。ジョッキーとして自覚がなかったと言われても仕方がない案件である。
ジョッキーたちは八百長などの不正行為に手を染めないよう、競馬の前日からトレセン、競馬場の調整ルームに入る(ただし、新型コロナ禍以降は自宅、ホテルなどを〝認定調整ルーム〟とすることがある)。もちろん、外部の者と接触しないためであり、通信はしてはいけないことになっている。
しかし、調整ルームや競馬場で行ってはいけないのは通信であり、JRAのジョッキーはスマホ持ち込みが禁止事項にはなっていない。多くのジョッキーが鍵がかかるロッカーに入れている。
今回の永島らは競馬場の女性ジョッキー控室に持ち込んでいたという。職員の目が届きにくいところだけに、気が緩んでいたとしか言いようがない。
他の公営ギャンブル、競輪やボートレースだと、持ち込みの発覚だけで、非常に厳しい制裁が下る。過去には契約が切れているスマホをミュージックプレイヤー替わりにしただけで、通信の疑いがなくても「管理秩序違反」となり、即日、出場契約が解除された競輪選手もいるほど。この時は2カ月、レースに出場できなかった。厳しい例では1年の斡旋停止となったこともある。
また、JRAでも2015年3月、通年免許を取得し、「これから日本のジョッキーに」という段階のルメールが、リツイートが発覚して30日の騎乗停止になった例も。JRAデビューが〝同期〟M・デムーロより1カ月遅れたことは記憶に新しい。いくらみんな若いとはいえ、このことを知らなかったとは思えない。JRAでは4日以降、全ジョッキーに聞き取り調査を行うという。新たな処分が生まれないことを願うばかりである。
今村は昨年、重賞勝ちを果たした期待の若手であり、永島は今年に入ってからメキメキと腕を上げた。それだけに1カ月、レースに乗れないのは痛いだろう。この間、自ら行ってしまった無自覚な行動を反省し、今後に生かしてほしいものだ。
ただ、競馬法が時代に適合していないのも確かだ。スマホが1人1台、もしくは2台の時代。競馬の日の朝、トレセン、もしくは滞在先の競馬場で調教に乗ったジョッキーが、調教師に連絡をするようなこともあるだろう。もちろん、厳密にはこれも〝アウト〟だが、実際のところ業務連絡でもある。
法の改正には時間がかかるが、厳密な運用も難しいところ。新たなルールづくりが求められる。