通算4400勝に足踏みは武豊だが、和田竜二は196戦勝ち星なし…今週にかける思いとは?
公開日:2023年2月1日 14:00 更新日:2023年2月2日 14:06
「走るのは馬。馬本位で身をゆだねてみるのも大事」(四位師)
先週の日曜、競馬が終わり、こんな見出しの記事をネットで目にした。
「武豊、JRA通算4400勝またお預け」と。名手は1月21日の中京8Rをタイミングナウで制して4399勝目。大きな区切りにリーチをかけて以降、3開催日、17戦で足踏みが続くというもの。4400勝達成のプラカードを待つファンが多いもの事実だろう。
「勝てないのが競馬」はその武豊の金言だが、栗東には名手以上に1勝が遠く、生みの苦しみを味わっているジョッキーがいる。和田竜二だ。
実は今年、88戦で騎乗したが、2023年の初勝利がまだ上がっていない。それどころか、遡ると昨年の11月19日・阪神8RをイスラアネーロでのVを境に、196戦連続で白星なしなのだ。さすがに、ネット界隈では心配する声も見かける。
和田竜といえば、今年がデビュー28年目となる45歳。ベテランの域にさしかかっている。岩元厩舎に所属していた頃のテイエムオペラオーとのコンビは有名だ。
00年は天皇賞・春、宝塚記念、天皇賞・秋、ジャパンCに有馬記念の古馬中、長距離GⅠを総なめにする破竹の年間無敗の8連勝を記録した。他にもミッキーロケットの宝塚記念を含め、制した重賞は「50」を数え、JRA通算1435勝を挙げている。ただし、1436勝目がなかなか遠いのだ。
この約3カ月、惜しい競馬は数多くあった。②着は16回、③着は21回にもなる。
振り返ると、昨年末の12月18日、阪神では1、3、4Rと騎乗機会3連続で連対し、年明けの1月8日。中京7Rでは首の上げ下げで鼻差の接戦を演じた。
先週もそう。日曜中京8Rアファンで鋭く追い込み、刈谷特別のタガノエスコートは4角で〝オッ〟という雰囲気の連対。結果的に勝ち馬が強く、勝ててはいないが、あと一歩まできているのは確か。
「チャンスがある馬に乗せていただいているので、申し訳ない気持ちは大きいです。ただ、馬を動かせてはいる。勝てなくて狙いすぎている、考え過ぎているのかも」
こう和田竜本人は分析する。
そこで、元騎手で現調教師の方々に、現役時のトンネル時のメンタル切り替え方法をうかがってみた。
「ウチの馬でも負けたね(苦笑い)。ただ、あれだけのベテラン。数も勝っているし、難しく考えず、気楽に乗ればいい」(西園正師)
「〝何でだろう〟と思うくらい、流れが悪い時は必ずありますからね。勝てる時はきますよ」(松永幹師)
「気になると思うけど、気にしないこと。慌てても悪いことにしかならない」(角田師)
「厩舎を開業してからよりよく分かりますが、今を一生懸命にやるしかない。先に向けて実になると」(高橋康師)
「勝てない時ほど考える。騎手は一生懸命にやっているから考えないという訳ではないけど、走るのは馬。馬本位で馬に身をゆだねてみるのも大事。シンプルに気持ちよく走らせるようにする」(四位師)
各先輩騎手からこんなエール、矜持が届いた。
今週から2月競馬に突入する。素人が簡単に言うセリフではないが、〝ツキ〟は変わっていい。
「家族を含め、みんなに心配をかけている。目の前の一戦を集中して騎乗するだけ」は和田竜だ。
騎手は誰しも言う。「1勝はかえがたい良薬」だと。このトンネルを脱すれば、だ。
今週末は土日とも中京で騎乗。ファンも皆、ウィナーズサークルでの和田竜の素敵な笑顔を待っている。同時に先頭でゴールを切った際には大きな拍手が起こる事も期待したい。