【ローズS】好感触しか伝わってこないタガノアビー、パラディレーヌの千田厩舎の強力な2本矢
公開日:2025年9月10日 14:00 更新日:2025年9月10日 14:00
タガノアビーは「本番よりも、外回りの今回の方が合う」(千田調教師)
強力な二本の矢で秋トライアルに挑む。タガノアビーにパラディレーヌを要する千田厩舎だ。
2頭は春のオークスで③④着。樫の盾に近かった実力馬たちだ。どんな秋となるのか、探ってみた。
タガノアビーは米血統のアニマルキングダム産駒。キャリアを重ねて強さを増した。初勝利は年明け2月の小倉と遅かったが、そこから約3カ月で大舞台へとたどり着いている。
500キロ弱と馬格に恵まれた牝馬でもあるが、タフさを示した春でもあった。4月末のGⅡフローラSが⑤着。優先出走権を逃すと、連闘で翌週の京都・矢車賞へと出走。大外一気で2勝目を挙げてオークス出走にこぎつけた。
そのオークスは、連闘からの中2週。再度の東京輸送があるタイトなローテーションの中で最後方18番手からインを鋭く伸びて③着。10番人気で馬券に絡んだ。春3戦は33秒3、33秒5、33秒5を記録し、デビュー6戦中、5戦で上がり最速をマークする決め手を見せてもいるから、牝馬の固定概念の覆す走りだろう。
たたき良化型であることは秋も明確。秋華賞出走を確実にするため、下半期初戦に選んだ長久手特別で②着と負けた。
「鞍上(川田騎手)の感触では、イメージより10完歩分ほど反応が鈍かったと。そのあたりが久々だったのかもしれないね。それでも33秒5の脚は使えているし、やっぱり、使って良くなってもきた」と千田師も話す。
今回は中3週での臨戦となるが、やはりタフだ。2週前の週末から普段どおりの調教ルーティンに戻り、最終追いは別記のとおり、大きなストライドで駆けている。
「舞台からすれば、本番の内回り二千メートルよりも、外回りの今回の方が合う。きっちりと権利(③着以内)を取ってほしい」
パラディレーヌは「大人になって走りに優雅さが出た」
一方、パラディレーヌもポテンシャルの高さは劣らない。
出遅れた新馬戦③着から、未勝利、つばき賞とあっさり2連勝を決めた。京都芝千八で3戦して1分49秒5、1分476、1分46秒8と使うごとに大きく時計を詰めている。
重賞挑戦となったフラワーC、オークスでも高性能ぶりを発揮。中山GⅢではゲートでアオリ、前半は後方12番手のインから。前半千メートル地点で先頭より1秒後方で、レースは4角先頭のレーゼドラマが押し切る展開。ほぼ〝圏外〟にいたが、そこから馬群をねじ開けて②着まで差し込んだ。続く、オークスは中団8番手での立ち回り。直線は進路を探しつつとなりながらも0秒3差まで迫ってみせた。
「春はまだ体に余裕があったかな。パワータイプで力で押すような感じ。でも、ひと夏越して、余分な肉が取れてスカッと見せるようになり、同時にストライドが伸びるようになってきた。追い切りも向正面をゆったりと行けるし、大人になって走りに優雅さが出た感じ。それでも最後はビュンと伸びるから完成されてきた」
確かにそう。1週前のCウッドではラスト3Fを37秒6─23秒1─11秒2のフィニッシュ。残り1Fを切ってギアが上がり、残り100メートルからもう1速上がり、今週も同じラスト2Fは11秒4─11秒0とゴールが近づくにつれて脚の回転がグングン上がった。後ろを走るタガノアビーが緩慢に映るほどの切れ味だった。
「2頭ともに楽しみだね。力はあるし、いい競馬になるのは間違いないでしょ」
笑顔のトレーナーからも好感触しか伝わってこない。