桜の女王エンブロイダリーを信頼する。
1冠目はスタートこそやや後手を踏んだが、すぐに挽回。馬群の中で折り合いながら手応え良く進み、直線であいたスペースをスパッと抜けてきた。最後は②着馬との追い比べでグイッと出てゴール。ほぼ完璧な内容での戴冠だった。
折り合い面やレースぶり、跳びの大きなフットワークなどからは距離克服も可能に映る。父がマイラーのアドマイヤマーズという血統面のみが、二千四百メートルに対する不安点だろう。
とはいえ、過去にウメノファイバー(父サクラユタカオー)、エリンコート(父デュランダル)といったマイラー産駒のオークス馬も出た。3冠牝馬アパパネにしても、母は典型的なスプリンターだった。
そう、血統の壁を能力で克服できるのが牝馬2冠目なのだ。
「アーモンドアイ、スターズオンアース、ソウルスターリング。阪神JFか桜花賞を勝っている牝馬のトップなら、スタミナはあまり関係ない。能力があれば勝てる」
そう断言したのはこのレース4勝の実績を誇るルメール。最強のパートナーが自信を持って手綱を取るから心強い。
「桜花賞は不確定要素がいろいろありましたが、今回は距離一点だと思って折り合い面、精神状態をケアしながらやってきました。いいレースができると思います」
管理する森一師の表情にも曇りなし。2冠に向け視界良好だ。
B型の虎党。父が元専門紙の記者だったこともあり、競馬場デビューはベビーカーに乗っていた頃。本棚に競馬四季報が並ぶ恵まれた家庭環境で育った。アルバイトを経て2000年に入社。03年夏から美浦トレセンに通い始め、担当は堀、相沢、鈴木伸厩舎など。
予想の基本スタンスは“いかに儲けるか”。当たり馬券を手にするために、取材で得た情報だけでなく、データ、馬場、展開、血統とありとあらゆる手段を駆使。人気馬のアラ探しより、一点突破の強力な武器を持つ伏兵を見つけることに血道を上げている。
レース部きってのギャンブル好きで、オート、競輪、競艇と見境なく手を出して勝負勘を養っている。ポーカーは海外の大会で入賞経験もある腕前だ。趣味は祭り、プロ野球、相撲、アメフト観戦など多岐にわたる。ゴルフは典型的な下手の横好き。