JRAで初めて芝千四で1分20秒の壁を破ったのはあのサクラバクシンオー。94年スワンSでのことで、時計は1分19秒9だった。
それから8年後。リニューアルされて左回りになった新潟で、マグナーテンが1分19秒0をマークした。
しかし、そこから19秒台は何度も出た。その数は実に80回。しかし、今度は1分19秒0が厚い壁となっていたのだが……。
トウシンマカオが勝った土曜のGⅡ京王杯スプリングC(写真)は千四1分18秒3。一気にJRAレコードを0秒7も更新し、いとも簡単に19秒の壁を突き破った。
これは「馬場がかなり硬くて、速い時計が出やすいから」と片づけるのは簡単。実際、ジョッキーからは「芝は硬い」という声も出ているようだ。
だが、実際は金曜に51ミリの雨が降り、土曜朝の芝のクッション値は9・2だから標準だ。しかも、どのレースも時計がベラボウに速いというわけでもなく、この京王杯SCだけが突出しているように思える。
前半3Fは33秒9と34秒を切っているのに、上がり3Fは33秒2。これではレッドモンレーヴが32秒4の鬼脚を使っても届かないのは当然か。
2Fが10秒7で、以降はすべて11秒0~11秒2だ。後半5Fは55秒4。過去の芝千四における後半5F最速は55秒9(4回ある)だから、この数字も出色。外枠からスムーズな競馬なら、トウシンマカオは本当に強い。
ただ、今後は秋に備えて休養するようだ。②着ママコチャも安田記念には行かないだろう。GⅠ前哨戦だが、「いかにも千四」というメンバーで、本番に結びつきそうにないのは残念である。
他に時計的に優秀なのは土曜6R4歳上1勝クラスの芝二千。1年ぶりの出走だったが、デュアルウィルダーは青葉賞の③着馬。1分58秒3で勝ち上がれば、次も当然、期待できる。
ダートでは土曜2R3歳未勝利の千六。初ダートのジェイエルマスターが外から突き抜けて、1分35秒2の好時計だ。不良馬場とはいえ、6馬身差の圧勝だから、この時計は1勝クラス、もしかすると先々、古馬相手の2勝クラスでも通用しそうなレースぶりだった。
さて、最後に天皇賞。道中の緩みはあったが、残り1400メートルからペースがいったん11秒台に上がり、1200メートルあたりからジャスティンパレスが動いた。ここは坂の上り。さすがに動くのが早かったか。
下ってから動いたのが武豊ショウナンラプンタだが、この馬の上がり36秒0がレース3番目。34秒9で最速のビザンチンドリームが②着、35秒3で2番目のヘデントールが①着だから、この2頭の脚が抜けていた。それが②着と③着の3馬身差に表れているのだろう。
月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。