大阪杯もカナロア産駒で今年のGⅠ3連勝 日程が替わったチャーチルダウンCは久々にSS系がV
公開日:2025年4月8日 07:00 更新日:2025年4月8日 07:00
またしてもロードカナロアだ。
日曜阪神で行われた大阪杯はカナロア産駒のベラジオオペラが連覇を達成。②着もロードデルレイでワン・ツーを決めた。これでカナロア産駒は年明けのフェブラリーSから今年のGⅠ3連勝、重賞7勝目はキズナ産駒を抜いてトップに立った。
それもダートのマイル、芝のスプリント、芝中距離と異なる条件でのGⅠ制覇だから、カナロア産駒の守備範囲の広さには驚かされる。もともとキングマンボ系で母系の特徴を引き出しやすい父系。今回の2頭で言えばベラジオオペラが母の父ハービンジャーでロードデルレイがハーツクライの中距離型だ。
さらに、ベラジオはさかのぼればアイドリームドアドリームにたどり着く母系で、曾祖母が秋華賞③着のエアデジャヴー。その半弟には2冠馬のエアシャカールがいる。さらに祖母エアマグダラの半兄はアメリカJCC勝ち馬のエアシェイディ、母エアルーティーンの半兄にも函館記念勝ちのエアアンセムがいる。
ロードデルレイは5代母が名牝バラードで、米国の中距離芝GⅠで活躍したスラゴーベイやアメリカJCC勝ち馬のダノンバラードなどを出している血筋。ともに母系はスタミナ寄りで、典型的なカナロア産駒の中距離型配合だ。
しかも今回は千㍍通過57秒5のハイペースで、前後半の上がり3Fが34秒9=35秒1。勝ち時計は従来のレコードを1秒も更新する1分56秒2だった。もともとスピードの持続力勝負に強い同産駒にとってベストの流れにもなったか。
カナロア産駒でいえば、今週の桜花賞にもファンタジーSダンツエラン、勝ち馬のフィリーズレビュー②着のチェルアビット、デイリー杯2歳S勝ち馬のランフォーヴァウの3頭が出走。ダンツエラン、チェルアビットは母の父がイントゥミスチーフ、フレンチデピュティでややスプリント寄りの配合。母の父ディープインパクトで母が中距離で活躍したランフォーヴァウが配合的には一番マイルは向きそうな印象だが……。
③着ヨーホーレイクはディープインパクト×デピュティミニスター系でこれは17年②着ステファノス、21年①着レイパパレ、22年①着ポタジェと同じ。ディープ産駒のなかでも大阪杯と相性のいい配合なのだ。実は昨年の大阪杯は同配合のプラダリアに◎を打ち⑥着。その印象もあり今年は軽視したら馬券圏内に走られてしまった。やはり相性のいい血は無視してはいけないということ。大いに反省材料にしたい。
1番人気のシックスペンスは3番手追走からラストで伸びず⑦着。「GⅠのきつい流れでガソリンが切れてしまいました」とはレース後の横山武だ。キズナ産駒だが母は米7F勝ち馬。父方のストームキャットに加え、母系はミスプロ系を重ねたスピード寄りの配合。前走から1F延長で速いペースを追いかけた分、脚が上がってしまったのだろう。この距離でももう少しペースが落ち着けば結果は違ったと思うが、今回は展開に泣いたか。
3番人気で⑬着のステレンボッシュも同じく展開が不向き。エピファネイア×ルーラーシップでトニービンやサドラーズウェルズの血が入っており、長くいい脚を使うがエンジンのかかりは遅いタイプの配合。今回のような直線の短いコースでハイペース、かつ後方から上がり33秒台が求められるレースではお手上げ。条件が替われば即、巻き返してもいいだろう。
土曜中山で行われたダービー卿チャレンジTも①着レイデオロ産駒トロヴァトーレ、②着ルーラーシップ産駒コントラポスト、③着ロードカナロア産駒キープカルムとキングマンボ系が①~③着を独占。先週に続き同系が活躍した。
トロヴァトーレは3代母が名牝のソニンクで、安田記念を連覇したソングラインやダービー馬ロジユニヴァース、秋華賞馬ディアドラと同じ一族。近走はマイルで結果を出しているが、父もレイデオロも距離が延びていいタイプ。もともとデビューから2戦は二千㍍で連勝したように、中距離も十分守備範囲の血だと思う。
阪神では土曜にNHKマイルCトライアルのチャーチルダウンズCが行われた。昨年までアーリントンCの名で皐月賞ウイークの土曜に行われていたが、今年から2週前倒しに。自身の金曜発行のコラムにも記した通り、前の日程では桜花賞、皐月賞にSS系有力馬が参戦するためか、意外と手薄になり、前7年はSS系が1勝もできなかった3歳のトライアルとしては珍しいレースだった。
それが日程が替わった今年はシルバーステート産駒でランスオブカオスが即V。朝日杯FS③着の実績もあるSS系だ。今回は不安だったスタートを決め、好位から突き抜けて1馬身3/4差。GⅠ好走がダテでないところをみせつけた。
次はNHKマイルCになるが、不安は父シルバーステート産駒が直線の長いコースより短いコース向きな点。特に東京マイルは産駒通算で〈21371〉。新馬と未勝利で1勝ずつしか挙げていないのだ。今回、阪神の外回りで完勝しているため、そこまで直線の長いコースの適性がないとも思わないが、コース的に割引がいることことだけは頭に入れておきたい。