初年度から活躍するスワーヴリチャード産駒にあった裏エピソード──。
公開日:2023年12月13日 14:00 更新日:2023年12月13日 15:33
スワーヴ産駒は2歳戦3位の23勝、単勝&複勝回収率は100%超え
種牡馬界の2大勢力だったディープインパクト、キングカメハメハが去り、今年の2歳戦は面白さが増している。
先週までの2歳戦のサイアートップはエピファネイア。32勝で頭ひとつ抜けている。26勝でキズナ、スワーヴリチャードが23勝。以下、モーリス22勝、ドレフォン20勝、ロードカナロア18勝と続く。
ただし、エピファ産駒の1強でもなく、12戦の2歳重賞でみると、ダイワメジャーが2勝。シユーニ、スワーヴリチャード、デクラレーションオブウォー、パリスマレス、ハービンジャー、ファインニードル、ブリックスアンドモルタル、ヘニーヒューズ、モーリス、ロードカナロアが各1勝の併走、横一線。トップのダイワメジャーも先週の阪神JFを制したアスコリピチェーノでの2勝目だから、大混戦の〝血統戦国時代〟といっていい。
馬券的な視点でいえば、新種牡馬カリフォルニアクロームの産駒が好回収率を誇っている。102頭出走で単勝は200%、複勝163%。また、同様にリーディング上位のスワーヴも成績がよく、135頭で単勝161%、複勝106%。こちらもファンの懐に優しい血統でもある。
そのスワーヴリチャードは、前記のとおりで2歳戦で3位につけている。阪神JFで③着だったコラソンビートがダリア賞を勝ち、ヴェロキラプトルは野路菊Sとオープン勝ちもあるから、初年度産駒とすれば好成績を挙げている。
現役自体のスワーヴ担当者が産駒9連敗の不思議
スワーヴを管理した庄野厩舎も24頭で<32414>で、単勝96%、複勝110%と走っているが、ひとつ不思議な話もある。
スワーヴの現役時代は久保助手が手がけた。デビュー3戦目の共同通信杯で初重賞勝ちを飾り、日本ダービーでレイデオロの少差②着。秋のアルゼンチン共和国杯を制し、翌春の金鯱賞から大阪杯を連勝してGⅠウイナーに。翌年のジャパンCを制して2つ目のビッグタイトルを勝ち取っている。
「早い時期から走り、いい馬だったんだよ」と振り返る、その担当者が産駒でライジングアロー、シャドフ、ダイシンアレスに先週、京都でデビューしたウイップスティッチと4頭担当して④③除外⑥③⑧⑤③⑦⑫着。9連敗中といまだ勝てずにいるのだ。
「なんでやろ。もう、どうしていいんか分からんわ。先週もすぐに息が入ったくらいやし。担当者の腕がない、と書いておいて(苦笑)」とこぼしていた。
名誉のために書いておくが、久保さんは栗東で知らない人はいないほどの腕利き助手だ。もちろん、スワーヴはハーツクライ血統。担当馬の成長曲線が遅い可能性も十分あり、勝てないのは単なる巡り合わせに過ぎないのだが、産駒が走れば、走るほど自責の念にもかられている。
活躍中のスワーヴにはこんな裏エピソードがあった。そして、今週は中京でシャドフが出走する。ほっと一息つけ、笑顔のウィナーズサークルとなることを願うばかりだ。