【スプリンターズS】北九州記念不発のモズメイメイ 今回は葵Sの超抜ロケットスタートが戻ってくる

公開日:2023年9月27日 14:00 更新日:2023年9月27日 14:00

「ゲート内でジッと前扉を見つめている。開いて隙間ができた瞬間に飛び出す」(音無調教師)

 中山でも葵Sの衝撃再び──。

 競馬ファンの度肝を抜いたあの超抜スタートを見ることができるかもしれない。武豊が手綱を取るモズメイメイだ。

 その2走前には、京都競馬場のスタンド、テレビの前がわいた。全馬の態勢が整った赤ランプが点灯し、開いた刹那、最初の1完歩で他馬より前へ。それも軽く1馬身は前に出ていたからだ。まるでマリオカートのロケットスタートのごとく。名手もが驚く速さだった。

「カンパイではないのか!?」

 SNSではモズメイメイが瞬時にトレンド入り。話題となった。確かに、滅多に見ることがない反応速度でもあった。

 人間の競技では「0秒1」がスタートの境界線となっている。人が音を聞き、体を動かすまでに最低で0・1秒はかかるという医学的根拠が基になっている。陸上のトラック競技ではスターティングブロックにセンサーを設置。正しいスタートか、フライングかを見極める。先日、鈴鹿サーキットで行われた日本グランプリのF1も同じ。スターティンググリッドに埋め込まれたセンサーで1000分の1秒まで作動時を計測。0秒1より速い発進はフライング。ペナルティが課せられる。

 モズは別。ゲートを突破したり、潜って出れば不正発走となるが、開いてから出ている。

 管理する音無師がこんな話をしてくれた。

「豊が言うには、メイメイはゲート内でジッと前扉を見つめているそうなんだ。ジッと待ち構えていて、開いて隙間ができた瞬間に飛び出すみたい」

〝2秒の静寂〟からロケットスタートを決める

 過去のレースでも発馬は確かに速い。動物の本能的な反射神経というものだろう。それなら、なぜ、⑩着となった前走の北九州記念は〝並みの発馬〟だったのか。何が違っていたのか。

「大外18番枠の最後入れだったでしょ。入れられて、すぐスタートを切られたから構えているヒマがなかったんだと思う。昔からスタートのいい馬ほど、最後入れは出遅れたりするからね」

 元騎手らしい目線で解説してくれた。葵S時は先入れの奇数15番枠。待つ時間はあった。前走はゲートに入り、係員が離れてすぐのスタートだった。枠内でコンセントレーションを高めることも必要ということか。

「もちろん、枠順次第にはなるけど、今回はまた驚かせてくれるかもね」とトレーナー。期待感を抱かせてくれた。

 秋GⅠの初戦は、芝1200㍍というJRAで最も短いディスタンスで行われる。好発、出遅れの差が大きく結果にも響くレースだ。そこで、思い出すのが春GⅠでの「川田からファンへのお願い」だろう。

 オークス時のこと。

「陸上競技のスタートと同じように、ゲートが切られるまでは少し、あと2秒ほど声援を我慢していただいて、ゲートが開いてから、全力で盛り上がってもらえれば」

 続く、日本ダービー、安田記念、宝塚記念でも守られた。秋GⅠもしかり。

〝2秒間の静寂〟から始まる中山電撃戦も面白いはず。果たして、この間にモズメイメイの集中力が高まり、葵S同様の超抜ロケットスタートで幕を開けるか。こんな発馬の瞬間を、息を飲んで待つ秋GⅠ初戦も一興だろう。

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