ソダシの今浪厩務員、ファンへ贈る言葉 「応援してくれたことが仕事のモチベーションになった。感謝しかないよね」

公開日:2023年6月6日 14:00 更新日:2023年6月6日 14:00

「〝ソダシと競馬に行くのはこれで終わりか〟という気持ち」(今浪厩務員)

 先週の安田記念は、見応えがあった。10頭のGⅠ馬が出走してのマイル王決定戦だけあり、勝ちタイムは1分31秒4、上がり3Fは33秒8。非常に〝締まった〟レースとなった。そして、当日の東京競馬場は6万4638名の観客数。1週前の日本ダービーが7万1868名だから大盛況に終わった。

 この盛り上がりに、ひと役買ったのが白毛馬ソダシだろう。デビューから担当してきた今浪隆利厩務員が、この秋で定年。コンビで迎える最後の一戦、GⅠとしても大きな話題ともなった。

 その今浪さんから、最終戦の話、応援してくれたファンへの感謝の気持ちを聞いた。

──まずは、お疲れ様でした。⑦着という着順でした。

「相手が強い中で、ソダシ自身はよく頑張って走ってくれているよ。何より、馬が無事に帰ってきてくれた。それだけで、いいな」

──戦前、コンビ最終戦としての心境の変化はありましたか。

「調教の段階から〝ソダシと競馬に行くのはこれで終わりか〟という気持ちはあったね。だからと言って、特段仕事が変わるわけじゃない。いつも通り、一生懸命に」

「ファンの方はボク以上にソダシ、須貝厩舎を応援してくれたら」

──ヴィクトリアMと違い、ややゲート入りを拒みました。その姿にネットは〝ソダシが離れたくないんじゃないか〟という声もありました。

「そうみたいだね。あれがいつもの姿。でも、そう思ってもらえるのは嬉しいこと。ゴルシ(ゴールドシップ)の時もそうだったけど、ファンがいたからここまで頑張ってできた。ファンの方が、お守りや励ましの手紙を送ってくださる。手紙は皆読んでいるし、ツイッターのコメント欄は全部目を通してる。仕事が終わってからの日課みたいなものだからね。応援してくれることが仕事のモチベーションになったのは確かだから、ありがたいこと。感謝しかないよね」

──今後、ソダシは手を離れます。

「ただ、これからも、ソダシ自身は競馬があるだろうからね。もちろん、応援するよ。ボク以上にファンの方はソダシ、須貝厩舎を応援してくれたらいいかな」

「競馬の仕事は夢がある」(今浪厩務員)

    ◇    ◇    ◇

 会話の最中も、馬道を通る他厩舎のスタッフから「今浪さん、お疲れ様でした」「ご苦労様でした」と多くの声がかかった。一頭の馬を育て上げることの苦悩、努力を皆、知っているからだろう。48年に渡る、この道一筋のホースマン人生。今後、競馬サークルに入るであろう若人へのアドバイスも聞いてみた。

「この仕事は夢があるよね。GⅠという夢があり、一生懸命にやれば、GⅠを勝つという願いをかなえてくれる。ただ、生き物が相手の仕事だから、馬に対して責任を持って仕事をするということが大切。うん、馬が好きで入ったけど、定年までこの仕事ができたし、この世界に入ってよかったと思う」

 この日曜、阪神6Rでもう一頭、担当するホウオウロザリーが出走する。これがホースマン・今浪隆利の最後の競馬場となる。

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