【安田記念】31年ぶりの記録〝逆ヤマニンゼファー〟に挑むジャックドール。名手・武豊に聞いた
公開日:2023年5月31日 14:00 更新日:2023年5月31日 15:19
初マイルで勝ったヤマニンゼファーは二千メートルの天皇賞もV
勝てば、92年ヤマニンゼファー以来、31年ぶり。レアな記録がかかるのは武豊=ジャックドールのコンビだ。
ジャックはデビューから14戦、一貫して二千㍍を走ってきた。前走の大阪杯勝ちで8勝目を挙げてGⅠウイナーの仲間入り。初マイルの今回での安田記念Vなら冒頭の珍しいパターンでの勝利となる。
そして、ヤマニンゼファーといえば、オールドファンには懐かしい名馬。90年代に活躍したニホンピロウイナーの子だ。91年の明け3歳デビューで、〝帝王〟ことトウカイテイオー、火曜にこの世を去ったナイスネイチャらと同世代の一頭でもあった。
ヤマニンはデビューから千二ダートを連勝し、その後も芝、ダートの千二を中心に使われてきた。9戦目の4歳春。初オープン、初の千四となった京王杯SCで③着に入って安田記念へ出走する運びとなり、結果は早め先頭からの堂々押し切り。11番人気でアッと言わせている。そこから、翌年にはさらに距離を二千㍍と延ばした天皇賞・秋も制したから「距離の壁」を打ち破る能力を秘めた一頭でもあったわけだ。
距離を延ばして勝ったのがヤマニンなら、今回のジャックは〝逆ヤマニンゼファー〟に挑むとも言える。そこで──。
コンビを組む武豊に感触、期待度を聞いた。
「明らかに今回の方がいい感触」(武豊騎手)
──レースに乗る前のジャックドールの印象は。
「一緒のレースに乗っていましたが、スピードもあり、持続力もある。強い馬だなと思っていました」
──初騎乗は香港Cで⑦着でした。
「初めて乗った時から〝いい馬だな。素晴らしいな〟という感触はありました。ただ、レースではいい結果を出せずに終わったので、本来の走りができなかった思いがありましたね」
──前走の大阪杯が2度目のコンビ。強い競馬で逃げ切りました。
「また、コンビを組んでレースに挑めるということで僕自身も〝ありがたいな〟と思いましたし、それに応えたい気持ちが強いレースだったので、結果で応えることができ、すごく嬉しかったですね」
──本日の最終追いに騎乗。83秒8、35秒9─11秒2を馬なりでマークしました。
「途中まで前の一頭が先導する形も途中から自分の感触で。思っていたよりも早めに前へ出る形にはなりましたが、非常にいい動きでしたよ。単純に最終追い切りでのボクの感触を言うと、(大阪杯と比較しても)明らかに今回の方がいい感触です」
──初のマイル戦へ替わります。イメージは。
「距離を抜きにして、まずはいいスタートを切って、リズムよく走らせたいという気持ちはあるので、細心の注意を払ってスタートを切りたいですね。単純に、今までのレースと過去の安田記念を比較すると1秒、2秒と違う(大阪杯の千六通過は1分33秒5)ので、千六百なら千六百の乗り方をしようと思っています。ただ、馬のスタイルを崩してまでという気持ちはない。その辺のバランスを取って乗りたいですね」
───安田記念に挑む心境は。
「ボク自身は楽しみだという気持ち。新たな一面が見られるんじゃないか、見たいなという気持ち。素晴らしいメンバーが揃ったこの一戦でジャックドールと挑めるのは本当にワクワクする。結果を出したいですね」