類いまれなマイル適性

　エエヤンは前走のニュージーランドＴを制して重賞初Ｖ。３連勝の勢いに乗ってＧⅠ取りに臨む。

　デビュー前から攻め馬は抜群の動きで素質の片鱗を見せていたが、③⑤着と勝ち切れず。前進気勢が強いため、距離に対応できずに自滅するパターンが続いた。

　特に千八を使った４走前はそのウイークポイントが顕著に出てしまった。

　発馬を決めたまでは良かったものの、２番手の馬に突かれると引っ掛かってしまい、暴走気味に。５Ｆ通過が５７秒９、６Ｆ通過が１分９秒６。スプリント戦のような超ハイラップを刻んでしまったのだ。

　普通なら惨敗してもおかしくないところを⑤着に踏ん張っている。この走りに伊藤大師は苦笑いしながら「あれで大バテしないんだから、逆にすごいよね」と〝負けて強し〟の内容を評価していた。

　その後、仕切り直しの意味を込めて放牧を挟み、距離を縮めてマイル戦へ。これが功を奏してリズム良く走れるようになり、持ち前のスピードを遺憾なく発揮できるようになった。

　重賞初挑戦となったニュージーランドＴも強かった。

　内枠を考慮して出していった分、少し掛かったがうまくなだめて３コーナーで外に出す安全運転。直線でも一息待って追い出す余裕で最後は②着以下に１馬身１／４の差をつける圧勝劇を演じて類いまれなマイル適性を見せつけたのだ。

　レース後は短期放牧を挟んで２１日に帰厩。２６日には坂路４Ｆ５６秒９─１３秒５で１週前追い切りを消化した。

「ニュージーランドＴの疲れもなく元気。予定通りのメニューをこなして順調だよ」と師。

　毛ヅヤも良く状態面は申し分ないようだ。

　となれば、鍵となるのは直線の長い東京か。

　だが、師は「問題ない。走り自体に左右差はないからね」とまったく意に介さない。

　鞍上も３走前に快勝していいイメージを持っている戸崎を確保できたのも朗報。

　このまま追い風に乗って４連勝で一気に３歳マイル王に輝く準備は整っている。