〝新〟京都競馬場取材レポ

公開日:2023年4月10日 18:00 更新日:2023年4月11日 21:03

大きく生まれ変わった京都

 4月22日、京都競馬場が902日ぶりにグランドオープンする。

 本日、報道陣向けの内覧会が行われた。待ちに待った京都だ。好天も相まって、各記者、カメラマンの表情も非常に明るい。その様子をお伝えする。

 京都競馬場は、開設100周年を迎える2025年の記念事業の一環として、スタンド改築をはじめ、厩舎、馬場を含めた施設全体の一体的整備工事に着手。

 昭和55年竣工のグランドスワンが全面改築し、ビッグスワンも改修。JRAで唯一、円形であった下見所も1周140㍍の楕円形へと変わった。

 その20年11月から今年3月の開催休止期間を利用して、芝、ダートの両コースで路盤改修が行われ、馬場入退場経路の整備を含めた地下馬道やパトロールタワーも改修されている。

 センテニアル・パーク京都競馬場として生まれ変わったが、「ゴールサイド」の名称となった旧グランドスワンはやはり綺麗だ。落ち着いた雰囲気がありつつも非常に明るい。高さは34㍍で変わらないが、7階立てから6階層に。スタンドの大屋根は京都府産の木材と鉄鋼を組み合わせた「木鋼ハイブリッド構造」で菱形の採光窓も並ぶ。これが柔らかさ、明るさに開放感を生んでいる。

厩舎地区、装鞍所も一新

 まずは、新パドックの外周を1周した。旧パドックよりゴール側に移動し、1周が129㍍の円形から140㍍の楕円形と生まれ変わった。

 直線距離を長くしたのは、スタンド各フロアから馬の歩様を確認しやすくするためだ。その2階には360度パドックを取り囲む「パドックリング」が新設されている。これは同じ関西圏でいえば、阪神や中京競馬場をイメージしてもらうと分かりやすい。旧パドックは憩いの場に。ここには父ディープインパクトに続く、父子無敗3冠となったコントレイルの像がある。京都パドックの象徴だったモチノキは、幹を使い時計となり、ゴールサイド2階に設置された。
 
 パドック裏の三冠馬メモリアルロードへ。ここでは京都で誕生した14頭の歴代三冠馬の像がある。
 
 そこから厩舎地区へ移動。もちろん、普段は立ち入れない場所だ。厩舎は、当日厩舎が17棟200馬房。滞在厩舎は4棟44馬房。いずれも、空調完備されている。競馬当日の出走各馬の動きに合わせ、装鞍所から地下馬道を抜け、パドック内へ。以前に比べ、スタンドがより近く感じる印象を受ける。

騎手が乗り心地を絶賛する芝コースに

 パドックから馬場入場経路となる地下馬道を抜けて、馬場エリアへ。地下馬道はスタンド下を通るショートカットのルート。人馬への負担が軽減し、イレ込み癖や、〝走りたがる〟タイプの気性の馬にはいいのかもしれない。その様子は客席の窓から見下ろせる。

 芝、ダートコースはともに路盤から改修した。芝は綺麗にはえそろい、まさに緑の絨毯。歩くだけでクッションが利く印象だ。実際に、先月末に川田、藤岡康、藤岡佑、古川吉、和田竜と騎手5人に加え、元ジョッキーの渡辺師が参加したコース試走会では、「素晴らしい状態に造られているのでレースが楽しみです」と川田が話すように皆、乗り心地を絶賛している。とんなタイムが飛び出すのだろうか。

 ダートも砂の状態が非常にいい。「砂が細かくなり過ぎると締まり、馬の脚に優しくない。今は〝オープンクラスの砂〟ですよ」と馬場造園課の東課長も胸を張る。

 コースレイアウトについては各発走地点、高低差および直線距離に変更はないが、芝外回りの4角の角度がやや穏やかとなった。コースを取り囲むパトロールタワーは緑色から白へ。これは京都府景観条例に沿う配色で、ゴール板のオブジェは、向かい合わせとなる2羽の白鳥から芝、ダート、障害のコースレイアウトを重ねたものに。

22日に1回京都が開幕

 〝新〟京都競馬場は、今週末の15、16日の両日で新スタンドがプレオープンし、来週土曜の22日に1回京都が開幕する。いずれもインターネット予約が必要だが、開放的で迫力のある新スタンドは楽しめるはず。女性向けの「UMAJO SPOT」も日本最大だ。

 そして、新京都で初めて行われるのが、30日の天皇賞(春)。ザ・淀のGⅠ戦が待つ。秋には、秋華賞、菊花賞と牡牝のクラシック最終戦が行われる。3冠馬が生まれる舞台──。

 春、秋とニュー淀からどんな名馬が誕生するか。ここも楽しみのひとつとなってくる。

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