今週から復帰の池添が自らを鼓舞した2つの目標(ネットオリジナル)

公開日:2023年2月9日 14:00 更新日:2023年2月9日 14:33

 池添謙一がターフに戻ってくる。

 昨年11月26日の阪神7Rで入線後に落馬。腰部を負傷し、第12胸椎破裂骨折と診断された。これは本来ならば、完治に6カ月以上を要するものだという。だが父・池添兼調教師の定年、厩舎解散に間に合わせるため、懸命なリハビリやトレーニングを重ねてきた。

「鎖骨を折った時に1カ月休んだことはありましたけど、2カ月は初めて。今までの骨折とは比べ物にならないぐらいで、折れた当初は体が動かなかった。出口が見えなかったです。もちろん秋のGⅠは乗れないし、香港のメイケイエールも乗り替わり。めちゃくちゃヘコんで、何のためにリハビリしてるのかも分からなくなった。でも、父が2月で定年。父の馬に騎乗して送り出したいと思いましたし、プラダリアも京都記念を使うと。その2つ目標ができたので、乗り切れました」

 トレセンへの復帰は先月31日。約2カ月ぶりに姿を見せた池添に、各調教師、厩舎スタッフからはひっきりなしに「お帰り!」の声が。本人は「足がパンパン」と苦笑いしながらも、「ようやく調教を再開できてひと安心」と安どの表情を浮かべていた。その翌日には追い切りに騎乗。復帰して最初に調教をつけたのが京都記念プラダリアだった。

 プラダリアと池添は、デビューから一貫してコンビを組んできた。新馬→未勝利で連続②着から3戦目で勝ち上がると、勢いそのままに青葉賞を制覇。続くダービーこそ⑤着だったが、ハイレベルな現4歳世代の中で確かな存在感を示してきた。ダービー後に残した「秋には必ず巻き返せるだけのポテンシャルがある」というコメントからも、いかにその背中に惚れ込んでいるかが分かるだろう。

 しかし、秋は結果を出せなかった。初戦の神戸新聞杯は2番人気で⑧着。続く菊花賞では1秒2も離れた⑦着に沈み、3歳シーズンは幕を閉じた。

 明けて4歳。今年は何としても「飛躍の年にしたい」と、期するものがあるはずだ。ましてや、自身の戦列復帰週。ケイコに力が入るのも当然だろう。

 復帰後のファーストコンタクトだった1日は、Cウッドで6F82秒1─37秒2をマーク。ラストはいっぱいに追って1F11秒5と、人馬ともに力強い動きを披露した。そして今週の最終追い切り。Cウッドで6F82秒6─37秒2、1F11秒6と、時計的には1週前と変わらないが、直前は軽く促された程度だ。びっしり追われた先週とは、反応がまるで違った。

 池添は「軽く手綱を絞った程度でしたが、いい反応でしたよ。直線ではしっかりストライドを伸ばして、手前も自分から替えていた。いい状態で臨めると思います」と太鼓判。〝池添ジョッキー自身の体は?〟という記者からの質問には、「ほんと、あとは人間だけですよね(笑)。でも、先週、今週と追い切りに乗ってきたし、ここに向けて体をつくってきましたから。体の感覚も、時計の感覚も戻ってる。不安なくレースに臨めます」と心配なしの口ぶりだ。

 ここを勝てば当然、春のGⅠ戦線では主役候補になる。人馬ともに、〝何とか次の1勝を〟。コンビ復活を勝利で飾れるか、注目だ。

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