【天皇賞】7馬身差圧勝タイトルホルダー また逃げ切りを決めた横山家のDNAと、秋への期待

公開日:2022年5月2日 17:00 更新日:2022年5月2日 17:00

 まさに独走だった。

 昨年に続いて阪神三千二百㍍を舞台に行われた天皇賞は、2番人気タイトルホルダーが逃げ切り。それも7馬身もの差をつける圧勝劇だった。
 鞍上の横山和はこれがGⅠ初制覇。菊花賞は弟・横山武騎乗だったから、長距離GⅠを兄弟で制したことになる。

 言うまでもなく、その父は偉大なジョッキー、横山典。96年にサクラローレルで天皇賞・春、98年にセイウンスカイで菊花賞、04年にイングランディーレ、15年にゴールドシップで天皇賞・春と長距離GⅠを4勝。その中でもセイウンスカイ、イングランディーレは逃げ切りである。

 タイトルホルダーは弟・武史で菊花賞を逃げ切り、今回は兄・和生だ。

 近年、長距離GⅠで純粋な逃げ切りを決めたのは他にキタサンブラックの武豊だけ(16年の天皇賞・春)。ほぼ、横山家のみが可能なワザといえる。長距離GⅠを逃げ切るジョッキーの腕、体内時計、つまり優秀なDNAが脈々と受け継がれているということだろう。

 菊花賞も5馬身差圧勝と強かったが、今回はさらにパワーアップ。単に7馬身と着差を広げただけでなく、三千㍍通過が3分3秒0と、菊花賞の勝ち時計を1秒6も上回っているのだ。

 父はドゥラメンテで、その父はキングカメハメハ。さらにキングマンボ→ミスタープロスペクターと遡る父系は天皇賞・春に全く縁がなかったが、ついにそれもストップ。母メーヴェからスタミナを受け継いだタイトルホルダーは、これまでのキングマンボ系の常識も破った。すでにドゥラメンテは昨年8月に9歳の若さで死亡。スタミナ面を強化した後掲種牡馬としての期待もかかってくる。

 レース後、栗田徹師は今週の凱旋門賞に登録する意向を明らかにした。

 海外のビッグレースを当たり前のように勝つ昨今でも、凱旋門賞は最後の大きな壁のようなもの。超スローの競馬での折り合いや、秋のフランス特有の長雨による重い馬場に、日本馬を苦汁をなめてきた。

 その中で唯一、〝逃げて〟②着と最大限の見せ場をつくったのがエルコンドルパサー。相手に合わせる競馬ではなく、自ら流れをつくることが大きな壁を破る方法だとするなら、タイトルホルダーは面白い存在となる。果たして、フランス遠征は実現するか。

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