【海外競馬特別インタビュー】グラファール師に聞いたカランダガン、ダリズ、そして日本馬のこと
公開日:2026年9月18日 14:00 更新日:2026年9月18日 14:00
昨年、05年のアルカセット以来、実に20年ぶりとなるジャパンCの勝利を成し遂げた外国馬がカランダガン。また、その2カ月近く前にはダリズで凱旋門賞を勝利と、今のフランスで、いや世界全体で見ても最も目立つ活躍をしているのがフランシスアンリ・グラファール調教師だ。
開業は11年ともう15年も前になるが、22年からアガ・カーン殿下のメインステーブルに。25年に大ブレークを果たした。
英仏はもちろん、前記の通りにジャパンCを制覇。また、昨秋にはゲゾラで自身初となるブリーダーズCフィリー&メアターフを勝利してみせた。
今年もカランダガンがGⅠを2勝(ドバイシーマクラシック、サンクルー大賞)すれば、先日のアークトライアル(凱旋門賞と同じ舞台で前哨戦が3鞍行われる日)ではヴァランディールでニエル賞、ダリズでフォワ賞とGⅡを2鞍勝利。しかも、その間に行われたマイルのGⅠムーランドロンシャン賞をエルデナリで勝って、1日で重賞3勝という快挙を成し遂げたばかりだ。
ダリズは凱旋門賞、カランダガンはジャパンCの連覇に挑戦。さらにヴァランディールも凱旋門賞へと向かう見込みだ。
今、世界中のホースマンの視線が集まるグラファール調教師。そのロングインタビューをお届けする。
――ダリズの成長と今の状態を教えてください。
グラファール調教師 ダリズは他のトップクラスの競走馬と同様、多くの強みを備えている。肉体的に非常に力強く、精神的にも勝ち気で、主導権を握る気性を持っているんだ。異なる馬場状態や距離でも適性を示してきたが、最大の強みはおそらくその爆発的な末脚にあると思うね。
※編集部注…ダリズがフォワ賞でマークした上がり3Fは32秒57。4頭立てで道中は超のつくスローだったとはいえ、この末脚は凄い。昨年の凱旋門賞は重馬場で差し切ったから、馬場不問の強さがある。
――3歳馬ヴァランディールの魅力は何でしょうか。
グラファール師 ヴァランディールは順調に成長と成熟を遂げており、前走の勝利からさらにどのような成長を見せるか楽しみにしているよ。時間をかければ世界のトップと互角に戦えるポテンシャルを秘めている。
ただ、凱旋門賞への最終的な出走決定はザラ姫(アガ・カーン殿下のご令嬢)によってなされるため、今後の動向はまだ詳しくは分からない。
――2頭のスケジュールと最終調整は?
グラファール師 両馬とも凱旋門賞を見据え、昨年と同様の目標に向かって調整と調教を続けていく。ただし、ヴァランディールの出走決定はザラ姫次第であるため、様子を見て判断するよ。シャンティイのエーグル調教場で連日、キャンター(軽めの駆け脚)を行いながら、本番に向けてさらに強力な追い切りを重ねていく予定だよ。
――レース展開や戦略はどう考えていますか。
グラファール師 枠順や馬場状態、そして出走頭数やメンバー構成が決まって初めて多くの戦略が定まる。そのため、レースの直前になるまでは立ち回りや具体的な戦術についての決定は下さない。
――重馬場適性の見極めについて教えてください。
グラファール師 血統は非常にいい指標となるが、それ以上に馬の馬体が最も雄弁に物語る。具体的には蹄(ひづめ)のサイズや前肢の構造だ。最終的にはプレッシャーがかかった局面で初めて真価が問われる馬自身の絶対的な能力、精神力、しぶとさ、そして勝利への執念が勝敗を分けることになると思う。
――今年は日本馬が2頭(アドマイヤテラ、メイショウタバル)、凱旋門賞に挑戦します。どう分析していらっしゃいますか。
グラファール師 いかなる日本馬であっても軽視するのは間違いだよ。日本は中長距離路線において世界最高峰の競走馬と生産プログラムを有している。彼らがどのような走りを見せるか楽しみにしているよ。
――日本馬は②着が最高で、いまだに先頭ゴールが果たせていません。勝ち切るための「最後のピース」は何だとお考えですか。
グラファール師 長距離移動を経て、自国とは大きく異なる環境でレースに臨むことは極めて困難だ。私自身、カランダガンでジャパンCを制した際、世界レコードを更新しなければ勝てなかった実体験からもそれを痛感しているよ。いつか全てが噛み合い、日本馬が凱旋門賞を制する日が来ることに疑いの余地はないよ。
――レースに向けてのピークの合わせ方は。
グラファール師 凱旋門賞は長いシーズンの終盤に行われるため、馬をフレッシュで好調な状態に保ちつつ、キャリア最大の決戦に耐えうる十分な仕上がりを与えることが重要となるね。まさに絶好調で臨む必要があるということ。
――カランダガンは今年もジャパンCに向かうと聞いています。
グラファール師 今年に関しては、カランダガンとともにジャパンCの連覇を目指して再び日本へ遠征することを強く望んでいる。私は日本での競馬が大好きであり、日本の競馬ファンは世界で最も馬をリスペクトし、情熱的であると感じている。
――最後に日本の競馬ファンへメッセージをお願いします。
グラファール師 日本のファンの皆さまの情熱、そして競走馬や競馬に対する深い愛に心から敬意を表したい。最高峰の馬同士がしのぎを削る姿を見たいという思いは、世界中の人々を結びつけるものだ。
凱旋門賞はフランス競馬を代表する最高峰のレース。日本の競馬ファンがこれほど熱心に注目してくれることを光栄に思う。今年も素晴らしいレースとなることを願うとともに、日本のトップホースたちと戦うために再び日本を訪れるのを楽しみにしているよ。
(取材協力=森航大)





























