本年、最終週は有馬記念、ホープフルS、中山大障害のGⅠ3鞍にGⅡ阪神Cもある豪華版。やはり年内ラストのGⅠが有馬記念という方がアラフィフの記者にはしっくりときますね。
その有馬記念は3歳馬のミュージアムマイルがこれで天皇賞・秋マスカレードボールに続き、今年は秋の古馬中距離の芝路線で3歳馬が2勝。ミュージアムマイルは天皇賞・秋でも②着だから、世代レベルの高さを物語っている。
天皇賞・秋の時のこのコラムにも書いた通り、ミュージアムはトニービン+サンデーのクロス持ちで瞬発力を強化しているものの、母系を遡るとハイペリオンの血を多く持っており小回り向きの配合。これで中山では重賞3勝目。得意の舞台で本領発揮といったところか。
リオンディーズ産駒は天皇賞・春を制したテーオーロイヤルがいるとはいえ、やや気性に難しいところがあり距離はもたない馬が多く、今回は距離延長で少し印を下げたのだが、鞍上のC・デムーロが完璧なエスコートでロスなくレースを進めたことも大きな勝因だった。来年に話を向けると国内の中距離戦GⅠなら春は大阪杯と宝塚記念。中山ではないものの、どちらも阪神の内回り。条件的には非常にマッチする印象だ。
②着は12番人気のコスモキュランダが2番手からしぶとく粘り込み。こちらは父のアルアインが皐月賞、大阪杯の勝ち馬で、ディープ直子ながら小回り向きの種牡馬。今回は初ブリンカーの効果もあったか、近走より行きっぷりが良くなっていた。思えば、父も皐月賞を制したあとしばらく勝てないレースが続いていたが、5歳時にブリンカーを着用。その2戦目の大阪杯で久々のGⅠを制している(その後は慣れてしましったのか、結果が出なかったが…)。産駒も父同様に馬具の効果が大きいのかも。アルアイン産駒がブリンカーを着用して来たときは少し注意しておいた方がいい。
昨年に続いてダノンデサイルが③着。中団から競馬を進めたものの、勝ち馬にマークされ最後は決め手の差がで出た感じ。その辺はサンデーのクロスの有無に斤量差もあった分だろう。エピファネイア産駒でもロベルトの4×3にシアトルスルーの5×4のクロスもある持続力型。欲を言えばもう1列前でレースが運べていればと思う。
昨年の勝ち馬レガレイラは④着。走破時計の2分31秒7は昨年の2分31秒8とほぼ変わらないが、違ったのは位置取り。昨年が⑤⑤③と先行から早めに動けたのに対し、今年はやや出遅れたこともあり⑭⑮⑫と後方に。母の父がハービンジャーで凱旋門賞馬、3代母がウインドインハーヘアと母系は欧州色の強い配合だ。持続力勝負に強いタイプだけに、小回り中山でこの位置では厳しかった。⑬着メイショウタバルはレース途中からハナに立ったものも、直線入り口でかわされるとそのまま後退。ゴールドシップ産駒で、もともと気難しい面のあった馬だが、そのモロい面が出てしまったか。これで東京、中山では3戦して掲示板は一度もなし。もしかすると関東への長距離遠征が合わないのかも。
ホープフルSはディープ×欧州母系のステイヤーを父に持つ2頭でワン・ツー
土曜に中山で行われた2歳GⅠのホープフルS。前2年の勝ち馬レガレイラにクロワデュノールは翌年もGⅠを制している出世レースだ。今年の勝ち馬はロブチェン。このレースがGⅠ昇格から初の新馬勝ちから連勝でGⅠ制覇となった。
父はワールドプレミアで今年の新種牡馬。ディープインパクト直子で菊花賞、天皇賞・春を制しているステイヤータイプだ。産駒はここまで4頭がデビューし、勝ち上がっているのはロブチェンのみ。父の母マンデラは独オークス③着。ロブチェンは重馬場の京都二千芝の新馬戦が3馬身差の圧勝だったように、この父に流れるドイツ系の血がタフな馬場をこなせる要因となっているのだろう。そこに母の父がジャイアンツコーズウェイでディープと相性のいいストームキャット系を入れてスピードを上げるイメージの配合だ。デビュー戦が逃げ切りで、今回が中団からの差しだからセンスはかなり良さそう。血統的に東京のような高速コースで決め手勝負より、タフな馬場に強い中距離型。ダービーよりも皐月賞が向く印象か。父や他の産駒を見てもやや晩成傾向がありそうなイメージ。来年はさらに力をつけてくるのではないか。
②着はフィエールマン産駒のフォルテアンジェロ。同産駒は通算29勝のうち、中山芝で11勝の舞台巧者。フォルテアンジェロも新馬勝ちが中山千八だった。フィエールマンもディープインパクト直子で母の父がニジンスキー系の欧州血統。菊花賞、天皇賞・春を制しており、奇しくもディープ直子のステイヤーの産駒でワン・ツーとなった。フォルテアンジェロは母の父がダークエンジェルでスプリンターだから、配合のイメージは勝ち馬と似ている。ディープ系ステイヤー×スピード母系の配合は今後もホープフルSで注目だ。
エコロデュエルが春秋中山障害GⅠ制覇 〝フユコク〟の障害でも注目したいキタサンブラック産駒
中山大障害はキタサンブラック産駒のエコロデュエルが勝って春の中山グランドJに次ぐJ・GⅠ制覇となった。キタサンブラック産駒はスタミナがあるからか、非常に障害での成績がいい。特に小倉の障害では9戦して5勝。年明けには冬の小倉開催もあるから、覚えておいてもらいたい。
土曜阪神で行われた阪神Cはルガルが千四1分19秒0のレコードでV。ドゥラメンテ産駒だがミエスクの4×4のクロスがあり、ここが同馬のスピードの源になっているのだろう。②着はナムラクレアでGⅠ実績馬でのワン・ツー。ナムラはミッキーアイル×ストームキャットのピュアスプリンター。6Fで5勝、7Fでは1勝②着4回。距離レンジの幅が広いルガルに軍配が上がったといったところだろう。
これで25年の中央競馬は全て終了。手探りの状態もありながら、このコーナーも1年間なんとか完走することができました。読者の皆様にはご覧いただきありがとうございした。おかげをもちまして26年度もこのコーナーの継続が決定いたしました。新年一発目は1月6日の午前7時にアップの予定ですので、よろしくお願いします。


























