【ジャパンC】欧州最強馬カランダガンは買えるのか
公開日:2025年11月27日 14:00 更新日:2025年11月27日 14:00
ジャパンCが日本国内の最強馬決定戦となって久しい。外国馬の優勝は05年アルカセットが最後で、もう20年も前のことに。馬券圏内に入ったのも翌06年のウィジャボード(③着)から途絶え、そこから延べ60頭が馬券圏外に消えている。
ただ、極東の地にまで遠征してくる欧州最強クラスの馬がいなかったのも事実。欧州の時計がかかる深くて重い芝とは異なる日本は〝違う競馬〟と思われているのかもしれない。
そんな中、今年は久々に欧州最強クラスが来日した。フランスのカランダガンは現在、世界トップのレーティング「130」だ。
果たして、ジャパンC制覇の可能性はどれほどあるのか。多角的に検証する。
目下GⅠ3連勝中
カランダガンは4歳のセン馬。今、まさに脂が乗り切っている状態だ。
今年6月のサンクルー大賞で初のGⅠタイトルを獲得。そこから7月のキングジョージⅥ世&クイーンエリザベスS、英チャンピオンSとGⅠを3連勝している。
特に評価されているのが前走の英チャンピオンS。10F路線のGⅠ(1990㍍)でこの路線の最強馬であるオンブズマンを2馬身4分の1差で撃破したからだ。
カランダガンはどちらかというと12F向き、一方のオンブズマンは10Fの馬。いわば相手の土俵で破ったことになる。
昨年は夏から秋にかけて古馬相手の英インターナショナルS、英チャンピオンSで連続②着。なかなか大きいところを勝ち切れなかったが、一気にブレークを果たしたというわけだ。
ドバイシーマクラシックではダノンデサイルに敗れた
欧州馬にとって最大の敵は日本の芝の時計が速すぎることだろう。
05年アルカセットは二千四百㍍2分22秒1のレコードVだったが、アーモンドアイは18年に2分20秒6という驚愕の時計で勝利。2分23秒台は当たり前のように出る。
カランダガンはこれまでの欧州馬よりは速い時計に対応できるタイプだが、今年のドバイシーマクラシックではダノンデサイルの②着。1馬身以上の差をつけられた。欧州以外となると勝ちきれないとみるか、それとも本格化前と考えるか。さらに、今年初戦で半年ぶりとあって、仕上がりの問題か。これは見方の分かれるところである。
また、カランダガンにとってイヤなデータも数多く存在する。
まず、同年の〝キングジョージ〟馬のJC参戦は過去に5頭いるが、90年ベルメッツ(⑦着)、96年ペンタイア(⑧着)、02年ゴーラン(⑦着)、09年コンデュイット(④着)、24年ゴリアット(⑥着)と馬券圏内はゼロ。
また、フランス馬も相性は良くない。勝ったのは87年のルグロリューが最後である。もう38年も前のことだ。
まさにこれは日本馬が凱旋門賞を勝てないということが逆になっただけで、理屈は同じ。そう、競馬そのものの質が異なるのだから、好走できないのは仕方がないとも言える。
調教師、騎手は今年絶好調
一方、〝人〟にはとにかく勢いがある。
管理するグラファール師は48歳。大ベテランが多いフランスの中では若手と言ってもいい。
11年に開業し、翌12年には重賞初勝利。今年はカランダガンの他にもザリガナ=仏1000ギニー、カンドゥラリ=ヴィコンテッスヴィジエ賞、ゲゾラ=仏オークス、BCフィリー&メアターフ、ウッドショーナ=ジャンプラ賞、キジサナ=ジャンロマネ賞、サーラン=ムーランドロンシャン賞、ダリズ=凱旋門賞、ゴリアット=バーデン大賞、シバヤン=オイロパ賞とGⅠを勝ちまくり。獲得賞金は2位の倍近い約1030万ユーロで初のリーディングを確実なものにしている。
また、鞍上のバルザローナは今年、ダリズで初の凱旋門賞勝ち。前記したグラファール師はアガ・カーン・スタッズのメインステーブルで、バルザローナはその主戦という間柄だ。
カランダガンは〝キングジョージ〟などを制しており、指定外国競走の交付対象馬だ。勝てば褒賞金が300万米ドルだから、約4億5000万円。①着賞金5億円と合わせると9億5000万円にもなる。セン馬だけに凱旋門賞などの出走権がなく、ここに向けて本気の来日であることだけは間違いない。





























