目黒貴子のアツアツ交遊録

〈117〉ウインカーネリアンでGⅠスプリンターズSを制した鹿戸雄一調教師(3)

公開日:2025年11月19日 14:00 更新日:2025年11月21日 10:44

(11月12日分から続く)
 もちろん鹿戸厩舎といえば忘れてはいけないこの馬の存在もあります。エフフォーリアです。

「うちのエース、看板馬ですね」。新馬戦から無敗で皐月賞を制覇。ダービーも②着。天皇賞・秋、有馬記念も制して年度代表馬にも輝きました。

「使っていくうちにクラシックは意識しました。でも実際向かうには本当に大変だなと実感させられた馬でもあります」。成績だけみると、順風満帆な印象です。

 ところが「気が気じゃなかった」。そう鹿戸調教師は振り返ります。

「精神的なことなんだけど、すぐ腹痛を起こすんですよね。だからよく厩舎に寝泊まりしましたよ。何があってもすぐ対応できるように」。特にレース後は心配だったようです。

 快挙は実は不安との隣り合わせ。「勝ってうれしいのは一瞬。すぐに次を考える」とは関係者からよく聞きますが、エフフォーリアの場合はそれにプラスして細心の注意をもって心身の疲労を回復させることも大きな課題でした。

「レースから帰っても必、ず厩舎でチェックして……。子供を育てるようでした」。実は有馬記念の前にもツメを痛めたり。「本当にうまくケアできました」。天栄と厩舎で連携して、いろいろな人の力で勝つことができたと振り返ってくれました。

 歓喜のGⅠ勝利となったウインカーネリアンも蹄葉炎で約1年間、戦線を離脱したことがありました。「治らないと言われてね。でもなんとか復活できて……。だからこの前勝った時はいろんな人の顔が浮かびました。

 スタッフも北海道の牧場の人も、鉄屋(装蹄師)さんもね」。たくさんの人の思いがつながってあの勝利があるんだと、私も感動を新たにしました。

 そしてあの温かい場内の雰囲気です「人気があったわけじゃないのに随分と盛り上がってくれて」そう語る鹿戸調教師の表情は本当にうれしそうでした。

 この後、ウインカーネリアンは香港へと遠征の予定です。「年齢もあってレース後の疲労の回復には時間がかかるようにはなってるけど、今回は思いの外回復が早いですね」と順調そうでホッとしました。

「もう何戦もできるわけじゃないからね。でも香港のスプリント勢はホントに強いから、。どこまで戦えるかだね。万全で出走させたいですね」。ウインカーネリアンはドバイでも②着しており、またブリーダーズCにも出走。海外遠征は慣れたもので、つい期待しちゃいますよね。

 そしてやはりこの件についても聞かなければならないと名前を出させていただきました。
(続きは11月26日に更新)

最新記事一覧

  • アクセスランキング
  • 週間