ホースマン直撃

【木津の土曜競馬コラム・東京6R】

公開日:2025年11月14日 17:00 更新日:2025年11月14日 17:11

 トレセンの厩舎スタッフは一般企業の社長にあたる調教師を筆頭に、社員の攻め専調教助手(調教専門助手)、持ち乗り調教助手(担当馬2頭)に厩務員(担当馬2頭)で割り当てられている馬房数分の入厩馬を育成してレースに送り出すという構成になっています。調教師以外は職変が可能。厩舎や個人の事情によって、入れ替わることがときおり見受けられます。

 自分の担当している畠山厩舎でも数カ月前に職変したスタッフがいました。攻め専の一人が落馬による負傷で長期休養を余儀なくされて、乗り手が減ってしまったためです。そこで白羽の矢が立ったのは結城助手。持ち乗りから攻め専になりました。

 厩舎運営において、攻め専はかなり重要なポジションになります。ある調教師は「攻め専次第で成績が大きく上下する」と言うほどです。

 わかりやすくカーレースに例えてもらうと「いくら車(馬)が良くてもメカニック(攻め専)の技術力でチューンしてもらってこそ。スピードが違ってくる」との言葉には妙に納得できました。

 結城さんとは持ち乗り時代から相当な年数の付き合いがあるので、どのような言葉で感触を伝えてくれるのか、個人的にとても興味がありましたが、想像以上に面白く的確で、穴馬にありつけることもしばしば。先週も「今週はポッドロワール(日曜東京12R)がお薦めですかね。前走あった緩みが取れているので」。結果は4番人気ながら②着好走とズバリでした。

 今週は入厩当初から、「この子は走ると思います」と温めてきた土曜東京6R・2歳新馬のフラワーフェアリーを推してくれました。

「背中の感触がいいし、走法から二の脚が速そうなんです。先週はかなり外を回して(ウッドで5F)66秒1の(1F)11秒8。今週は併せ馬の予定がちょっとチグハグになって単走になりましたが、和生(横山和騎手)の判断でまた外を回してのもの。内めを回れば1秒は違うはずですよ。結果的に目立たない数字になったので、オッズ的にもおいしいんじゃないですか(笑)」

 こちらの欲しい情報まで察して出してくれる気遣いには脱帽。ここは素直に◎でいきます。

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11月15日(土)東京競馬場

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木津信之

「ベガはベガでもホクトベガ!」
 93年エリザベス女王杯でホクトベガが①着でゴールに飛び込んだ瞬間の実況です。当時、浪人生でフラフラしていた自分にとっては衝撃的であり、今でも予想の根底に根付いています。
 ベガはバリバリの良血馬で鞍上が武豊。牝馬3冠にリーチをかけていました。対して、ホクトベガは父がダート血統でベテランの加藤和を配したいぶし銀のコンビ。春2冠でベガに大きく後塵を拝したホクトベガに勝ち目はなさそうでしたが、見事にリベンジ。この“逆転劇”こそが競馬の醍醐味ではないでしょうか。
 かつて作家の寺山修司氏は「競馬が人生の比喩なのではない、人生が競馬の比喩なのである」と評したそう。馬も人も生きている間はいつかの大逆転を狙っています。雑草でもエリートを超えるチャンスはあるはずと、きょうもトレセンを奔走しています。

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