【菊花賞】最後の1冠をもぎ取ったエネルジコ この先の可能性は!?
公開日:2025年10月27日 14:00 更新日:2025年10月27日 14:00
同期の強敵と未対戦のうえに近年の菊花賞馬は…
長距離は、騎手で買え――。まさにその格言を体現する、ルメールの史上初の菊花賞3連覇。前週に続いて手綱さばきが冴え渡った。
今年の菊花賞は春2冠の勝ち馬が不在も、終わってみればルメール騎乗のエネルジコが1番人気に応えて勝利した。
前半5F60秒8は稍重としては速い流れ。それを序盤は後方から4番手で脚を温存する形。
「1周目は後ろでゆっくり我慢。向正面で外に出して、豊さんの後ろ、トップポジションを見つけた」と鞍上が言うように、向正面からジワッと位置取りを上げ、4角ではもう前を射程圏内に。
長くいい脚を使う馬の特性を生かし、下り坂で勢いをつけてハンドライドで加速。直線も手応え良く、ノーステッキのまま前をのみ込んで残り1Fで先頭に立つ、危なげない走り。完勝と言える騎乗だった。
ルメールは秋華賞に続くGⅠ勝ち。そして菊花賞3連覇といい、やはり円熟味を増した手綱さばきは群を抜いている。馬が強いのは確かだが、その能力をスムーズに発揮させるのは簡単な話ではない。しかも、その戦法や引き出しは実に多彩。型にこだわらず、馬や展開に合わせた自在な乗り方ができるのが強みだろう。
また勝ったエネルジコは、スタミナ豊富で道悪得意な血統、走法で菊花賞を制し、これで5戦4勝②着1回でGⅠ馬に。まだ底を見せていない魅力がある。
だが、一方でこの世代のダービー馬クロワデュノールを筆頭に、皐月賞馬ミュージアムマイルやダービー②着マスカレードボールなど、世代トップクラスとの対決は未経験。そして、エネルジコ自身も全4勝のうち、新馬戦以外の3勝が雨中のレースで、パンパンの速い時計決着にどこまで対応できるか未知数だ。
次は年長馬が相手。より強敵相手と戦うことになる。22年アスクビクターモア、23年ドゥレッツァ、24年アーバンシックと、前3年の菊花賞馬はその後、勝つことができていない。
エネルジコはこれからその真価が問われることになりそうだ。

























