【凱旋門賞大特集】ついに日本の悲願は達成されるのか
公開日:2025年10月2日 14:00 更新日:2025年10月2日 14:00
とにかく斤量有利の牝馬が強い
いよいよ今週末に迫った凱旋門賞。日本からはアロヒアリイ、クロワデュノール、ビザンチンドリームの3頭が出走。いずれも前哨戦を制し、上げ潮ムードで本番を迎える。ついに日本のホースマンの悲願は達成されるのか、それとも……。ここでは今年の凱旋門賞のポイントを整理しておこう。
このレースはとにかく牝馬が強いことで知られている。
過去10年で16年ファウンド、17、18年を連覇したエネイブル、22年アルピニスタ、昨年のブルーストッキングと5勝をマーク。牡馬と牝馬がイーブンなのだ。世界的に見ても、二千四百メートルのGⅠでここまで牝馬が強いレースは珍しいといえる。
日本でも近年は牝馬が強いが、それでもジャパンCの過去10年では15年ショウナンパンドラ、18、20年のアーモンドアイで3勝だ。
その要因は斤量差か。JCでは4歳以上の牡馬58キロで、3歳は56キロ。牝馬はそれぞれ2キロ減だから、3歳牝馬は54キロだ。古馬の牡馬とは4キロ差になる。
では、凱旋門賞はどうか。
4歳以上の牡馬は59・5キロで、3歳は56・5キロだから、ここで3キロ差。さらに牝馬は1・5キロ減となり、古馬58キロ、3歳55キロとなる。差は4・5キロだ。
JCの4キロ差より0・5キロの差だが、4歳以上の牡馬が重い分、牝馬の斤量は非常に有利に思えてくる。
約2000万円の追加登録料を払って参戦ミニーホーク
現在のところ、ブックメーカーのオッズで人気なのはミニーホーク、アヴァンチュール。ともに牝馬だ。そのあとに日本のクロワデュノール、ビザンチンドリームが続いている。
ミニーホークは当初、凱旋門賞への登録がなかった。およそ2000万円もの追加登録料を払っての参戦だから、本気も本気である。ちなみに、昨年の勝ち馬ブルーストッキングもそうだった。9月30日、フランスギャロ主催の共同記者会見でA・オブライエン調教師が出走を正式に表明。鞍上はスミヨンが務める。
この馬の魅力は斤量の軽い3歳牝馬というだけでなく、底を見せていない点にもある。
2歳のデビュー戦は②着だったが、その後は5連勝。英オークス、愛オークスと欧州3歳牝馬の頂点に立ち、さらに古馬相手のヨークシャーオークスも制覇した。
ただし、このヨークシャーオークス。今年は3歳牝馬3頭の4頭立て、つまり古馬は1頭だけ。②着馬エストレンジはGⅢ、GⅡと連勝中だったが、GⅠはこの時が初挑戦だった。3馬身半差の楽勝だったが、このレース自体の評価は微妙。
アヴァンチュールは昨年の凱旋門賞②着馬だ。今年は4戦して①①②①着と好調。昨年は牝馬限定のGⅠヴェルメイユ賞②着からの参戦。今年は同じローテーションで勝っているから、より怖い存在となる。
しかも、道悪はとても上手。馬場悪化なら、日本馬3頭の最大の刺客になろう。
また日本馬は馬場に泣くのか
日本馬にとって最大の問題は、言うまでもなく当日の馬場状態だろう。
とにかく、10月のパリは肌寒く、雨が多い。当然、馬場も悪化し、大幅に時計がかかる。日本よりもはるかにタフなコンディションに、多くの馬が苦汁をなめてきた。
というのも、シャンティイ開催の16、17年を含めても、過去10年で良馬場にあたるのは3回だけ。5回が重馬場である。
ソットサスが勝った20年は不良。現地の馬場状態の表記は10段階で、その中でも10番目に該当する極悪馬場だったのだ。
今年、当日は曇りの見込みだが、それまでに金曜から土曜にかけて雨がありそう。主催者であるフランスギャロは〝スプル〟、10段階で6番目の重馬場を想定していたものの、もっと悪化する可能性も出てきた。
ただし、今年からパリロンシャン競馬場は馬場を改良し、フォルスストレートの水はけが良くなった。そして当日は仮サクを外し、直線にはオープンストレッチが。ゴール前450メートル付近から内側6メートルのグリーンベルトが生まれる。
果たして、当日のコンディションは……。パリの雨は欧州馬よりもはるかに強敵かもしれない。